年末調整とは?会社に出す3枚の書類と控除の基本をやさしく解説【2026年】

年末調整とは、毎月の給与から源泉徴収として天引きされてきた所得税を、年末に正しい金額へ精算し直す手続きです。計算そのものは会社が代行してくれるため、私たち会社員がやることは「必要な申告書を、期限までに、正しく書いて出す」ことに尽きます。この記事では、毎年言われるがまま用紙を提出している方に向けて、書類の役割・年末調整でできる控除とできない控除・つまずきやすいポイントを一度に整理します。
年末調整とは?源泉徴収との関係
会社員の所得税は、毎月の給与や賞与から会社があらかじめ差し引いて国に納めています。これが源泉徴収です。ただし毎月の天引き額はあくまで概算で、扶養家族の状況や、その年に支払った生命保険料などは反映されていません。
そこで年末に、1年分の給与と各種控除を反映した「本来の所得税額」を計算し直し、払いすぎていれば還付、不足していれば追徴として差額を精算します。これが年末調整です。多くの人は控除の分だけ払いすぎになっているため、12月や1月の給与で還付を受けるケースがよく見られます(還付か追徴か、その時期は人や会社により異なります)。
年末調整の対象になる人・ならない人
年末調整の対象になるのは、原則として勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出して働いている人で、年末まで在籍している人です。正社員だけでなく、この申告書を提出しているパート・アルバイトも対象になります(詳細な要件は国税庁タックスアンサーNo.2665「年末調整の対象となる人」参照)。
一方、次のような人は年末調整の対象外になったり、年末調整とは別に確定申告が必要になったりします(出典:国税庁タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」)。
- その年の給与収入が2,000万円を超える人(年末調整の対象外となり、確定申告が必要)
- 給与を1か所から受けていて、給与・退職所得以外の所得(副業など)の合計が20万円を超える人(確定申告が必要)
- 2か所以上から給与を受けていて、年末調整されなかった給与収入とその他の所得の合計が20万円を超える人(確定申告が必要)
- 年の途中で退職し、年末時点でどこにも再就職していない人(原則として年末調整されないため、確定申告で精算)
自分がどれに当てはまるか迷う場合は、勤務先の担当部署か国税庁の案内で確認しましょう。
会社に提出する書類は主に3枚+控除証明書
年末調整の時期に会社から配られる(または人事システムで入力する)申告書は、主に次の3種類です(各様式の正式名称・最新版は国税庁の「各種申告書・記載例」ページで確認できます)。
| 書類名 | 何のための書類か |
|---|---|
| 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | 扶養家族や配偶者の状況を申告する基本の1枚。翌年分を出すのが一般的 |
| 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書 | 本人の所得見積額や、配偶者控除・配偶者特別控除などの適用を申告する(様式名は年分により変わることがあります) |
| 給与所得者の保険料控除申告書 | 生命保険料・地震保険料・iDeCo(小規模企業共済等掛金)などの控除を申告する |
保険料控除申告書には、保険会社などから秋ごろに届く控除証明書の添付(またはデータ提出)が必要です。届いたら年末調整まで大切に保管しておきましょう。様式の名称や添付方法は年により変わることがあるため、当年分は上記の国税庁ページで確認してください。
年末調整でできる控除・できない控除
ここが最大の誤解ポイントです。年末調整はすべての控除を処理してくれるわけではありません。
| 年末調整でできる主な控除 | 年末調整ではできない主な控除(確定申告が必要) |
|---|---|
| 扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除/生命保険料控除・地震保険料控除/社会保険料控除/iDeCoの掛金(小規模企業共済等掛金控除)/住宅ローン控除の2年目以降(出典:国税庁No.1212「一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」) | 医療費控除(No.1120)/寄附金控除・ふるさと納税など(No.1150)/住宅ローン控除の初年度/雑損控除(災害・盗難など) |
医療費控除やふるさと納税の寄附金控除を受けたい年は、年末調整とは別に自分で確定申告を行う必要があります。なお、ふるさと納税には確定申告なしで控除を受けられるワンストップ特例という別の仕組みがありますが、これは年末調整で処理されるものではなく、寄附先の自治体へ自分で申請するものです。適用できるのは確定申告が不要な給与所得者等で、寄附先が5団体以内の場合に限られ、申請書は寄附した翌年の1月10日までに寄附先自治体へ提出する必要があります(出典:総務省ふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税の流れ」・「税金の控除について」)。
スケジュールの目安と書き方のつまずきポイント
年末調整の流れは、例年おおむね次のとおりです(申告書の社内提出期限は勤務先が定めるため、必ず勤務先の案内で確認してください)。
- 秋ごろ:保険会社などから控除証明書が自宅に届く
- 10〜11月ごろ:会社から申告書の配布・入力案内(提出期限は勤務先により異なります)
- 12月〜翌年1月:給与で還付・追徴の精算、その後に源泉徴収票を受け取る
記入時につまずきやすいのは、次のような点です。
- 「収入」と「所得」の混同:申告書の所得欄には、額面の収入ではなく、収入金額から給与所得控除額を差し引いた「所得」の見積額を書きます(計算方法は国税庁タックスアンサーNo.1410「給与所得控除」参照)
- 生命保険料の新・旧区分:控除証明書に書かれた「新制度・旧制度」の区分どおりに転記する必要があります
- 控除証明書の紛失:保険会社に依頼すれば再発行できるのが一般的です。早めの手配を
- 提出期限に間に合わなかった場合:控除を諦める必要はなく、自分で確定申告をすれば控除を受けられます
迷った欄は空欄のまま自己判断せず、勤務先の担当者か国税庁の記載例で確認するのが確実です。
要点3行まとめ
- 年末調整は、源泉徴収で概算払いした所得税を年末に精算する手続きで、計算は会社が代行してくれる。
- 提出するのは主に3枚の申告書+控除証明書。「収入」と「所得」の書き分けに注意。
- 医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)は年末調整の対象外なので、確定申告で対応する。
公式サイトのご案内
年末調整の様式・記載例・控除の要件は毎年見直されます。実際に記入する際は、必ず国税庁の「年末調整がよくわかるページ」および当年分の各申告書・記載例のページで最新情報を確認してください。ふるさと納税のワンストップ特例については、総務省のふるさと納税ポータルサイトが一次情報です。
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