「106万円の壁」がなくなる?|2026年の扶養ラインを税金と社会保険に分けて整理

パートやアルバイトで働くとき、必ず話題になるのが「◯万円の壁」です。ところが2025年から2026年にかけて基準が次々と動いており、去年の感覚のままだと判断を誤りかねません。
しかもこの「壁」は税金の話と社会保険の話が別物です。混同したまま調整すると、手取りが思ったように増えないこともあります。この記事では公的機関の情報をもとに、2026年時点の状況を整理します。
💡 この記事の要点
・「壁」は税金と社会保険の2系統。基準も金額も別です
・社会保険の扶養は原則年収130万円未満(60歳以上・一定の障害がある方は180万円未満)
・いわゆる「106万円の壁」は2026年10月に月8.8万円要件が廃止予定——金額での判定ではなくなります
1. まず「壁」は2系統あります
混乱の原因はここです。同じ「扶養」でも、次の2つはまったく別の制度です。
- 税金の扶養:所得税・住民税の配偶者控除や扶養控除。基準は「合計所得金額」
- 社会保険の扶養:健康保険の被扶養者、国民年金第3号被保険者。基準は「今後の見込み年収」
税金の基準を満たしても社会保険の扶養から外れることはありますし、その逆もあります。片方だけ見て働き方を決めないことが大前提です。
2. 社会保険の扶養:原則130万円、ただし例外あり
健康保険の被扶養者になる収入基準は、原則として今後の見込み年収が130万円未満です。60歳以上または一定の障害がある方は180万円未満となります。
同居の場合は原則として被保険者の収入の1/2未満、別居の場合は仕送り額未満という条件も加わります。
📝 見落としがちな緩和
配偶者以外の19歳以上23歳未満の親族については、2025年10月から基準が150万円未満に緩和されています。「扶養はぜんぶ130万円」と覚えていると、学生のお子さんのケースで判断を誤ります。
また2026年4月からは、他に収入がない場合に労働条件通知書などの契約上の賃金で見込み年収を判断する方式も導入されています。
3. 「106万円の壁」——2026年10月に金額基準が消えます
短時間労働者が勤務先の社会保険に加入する要件は、2026年9月までは原則として次のすべてを満たす場合です。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月の所定内賃金が8.8万円以上(これが「106万円の壁」と呼ばれてきた部分)
- 2か月を超えて雇用される見込み
- 学生でないこと(休学・夜間・通信課程などは例外あり)
- 勤務先の厚生年金被保険者数が51人以上
ここで重要なのが、月8.8万円という要件は2026年10月に廃止される予定だという点です。つまりそれ以降は「106万円」という金額自体が加入判定の基準ではなくなります。
さらに企業規模要件も段階的に廃止されていきます。
- 2027年10月:36人以上
- 2029年10月:21人以上
- 2032年10月:11人以上
- 2035年10月:企業規模要件そのものが廃止
長期的には「小さな会社だから加入しない」という考え方も通用しなくなっていく流れです。
4. 税金の扶養:48万→58万→62万円
税制上の合計所得金額の要件も動いています。
- 従来:48万円以下
- 2025年分から:58万円以下
- 2026年分から:62万円以下(給与収入のみなら、おおむね136万円以下)
ただし配偶者の場合、この限度を超えても納税者本人の所得などの要件に応じて配偶者特別控除が段階的に適用されることがあります。「136万円を超えた瞬間に控除がすべて消える」わけではありません。
5. 政府の支援策はどうなっている?
「年収の壁・支援強化パッケージ」は2023年10月に始まり、2026年も形を変えて続いています。
- 一時的な残業や繁忙で130万円を超えた場合、事業主の証明で引き続き被扶養者と認定できる措置は維持
- 社会保険を新たに適用した事業主向けの助成は、2026年4月以降「短時間労働者労働時間延長支援コース」へ
- 加入時に事業主が本人負担相当を補填する「社会保険適用促進手当」の標準報酬算定除外の特例は、原則最大2年
ただしこれらは労働者に自動で支給される給付ではなく、要件を満たす事業主への支援である点に注意が必要です。
6. 扶養から外れると、実際に何が増える?
結論から整理すると、2つの道に分かれます。
- 勤務先の社会保険の加入要件を満たす場合:勤務先の健康保険・厚生年金に加入し、給与から本人負担分が引かれます。保険料は事業主と分担で、厚生年金が上乗せされ、傷病手当金・出産手当金などの保障が付く場合があります
- 加入要件を満たさない場合:お住まいの国民健康保険と国民年金第1号に加入し、保険料を自分で負担します(国保料は自治体・所得・世帯構成で変動)
つまり「130万円を超えたら自動的に勤務先の社会保険」でも「一律で国民年金・国保」でもありません。まず勤務先の加入対象かどうかを判定するのが順序です。
⚠️ 注意
制度は改正が続いており、施行時期も項目ごとに異なります。この記事は2026年7月時点の公的機関の公表情報にもとづく整理です。ご自身の判断にあたっては、勤務先・お住まいの自治体・年金事務所の最新案内をご確認ください。
まとめ
- 「壁」は税金と社会保険で別系統。片方だけで判断しない
- 社会保険の扶養は原則130万円未満(60歳以上等は180万円、19〜22歳の親族は150万円)
- 「106万円の壁」は2026年10月に金額要件が廃止予定——判定の考え方が変わります
- 税金側は2026年分から62万円(給与収入136万円)
数字が動く時期こそ、古い情報のままの調整がいちばん危険です。働き方を決める前に、いま自分に関係するのがどちらの「壁」なのかを確認しておきましょう。
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