韓国のコンビニで買える薬は、登録した店だけです|法律上は20品目以内、1回に買えるのは1包装だけで、12歳未満には売れません

「韓国はコンビニで薬が買えるから、夜中に体調を崩しても大丈夫」という話を、旅行の前に一度は目にすると思います。深夜や休日に薬局が閉まっていても、近くの店に駆け込めば何とかなるのか。そこが一番気になるところだと思います。
結論から書きます。薬局以外の店で薬を売ること自体は、韓国の薬事法が例外として認めています。ただし売れるのはその店が市長・郡守・区庁長に「安全常備医薬品販売者」として登録している場合だけです。そして扱えるのは、条文上20品目以内の範囲で保健福祉部長官が告示で指定した医薬品に限られます。看板が同じチェーンでも、登録していない店では買えません。
1. 薬を売れるのは「登録した店」だけです
韓国の薬事法第44条は、医薬品は原則として薬局開設者や薬剤師などでなければ販売できないと定めています。その原則の例外として条文に並んでいるのが、第44条の2によって登録した安全常備医薬品販売者です。
第44条の2第1項は、薬局でない場所で安全常備医薬品を販売しようとする者は、市長・郡守・区庁長に安全常備医薬品販売者として登録しなければならないと定めています。つまり「コンビニだから売れる」のではなく、「登録を済ませた店だから売れる」という構造です。同じ看板を掲げていても、登録していない店舗では取り扱いがありません。
旅行者の側から見ると、これは行動の前提が変わる話です。深夜に薬が必要になったとき、目についた店に入れば必ず置いてある、という前提では動けません。置いている店を探す、という前提で動くことになります。
2. 登録の条件は「24時間年中無休」と、バーコードで遮断できる仕組み
どんな店でも登録できるわけではありません。薬事法第44条の2第2項は、登録しようとする者は24時間年中無休の店舗を備えた者であることなど、保健福祉部令で定める登録基準を満たさなければならないとしています。
その保健福祉部令にあたる薬事法施行規則の第21条(2025年10月31日改正)が、基準を4つ挙げています。①韓国標準産業分類による小売業を営むこと ②24時間年中無休の店舗を備えること ③教育を修了すること ④国際標準バーコードを用いて危害医薬品の販売を遮断できるシステムを備えることです。
4つ目が実務上は大きいところで、回収対象などの医薬品をレジのバーコード読み取りで止められる仕組みを持っていることが求められています。個人商店が思い立って棚に並べる、という運用ができないのは、この基準があるためです。
教育についても条文があります。第44条の3は、登録の前に安全性の確保と品質管理に関する教育を受けなければならないと定めています。売る側は、事前に講習を通っている前提だということです。
3. 何が置いてあるかは、告示の別表で決まります
ここが一番知りたいところだと思いますが、慎重に書きます。第44条の2第1項は、対象を「一般用医薬品のうち、主に軽い症状に緊急に使用し、患者自身の判断で使用できるもの」と定義したうえで、成分・副作用・含量・剤形・認知度・購入の利便性などを考慮して、20品目以内の範囲で保健福祉部長官が定めて告示する医薬品としています。
その告示が「安全常備医薬品の指定に関する告示」(保健福祉部告示第2016-156号、2016年8月24日発令・同日施行)です。ただし具体的な品目名は告示の別表に定められており、別表は添付ファイルの形になっていて、告示本文からは読み取れませんでした。したがって本記事では、個別の商品名・成分名や品目数を書きません。公式に確認できていないものを書けば、それは根拠のない情報になるからです。
はっきり言えるのは、法律上の上限は20品目以内であること、そして実際に指定されているのは告示の別表に載っているものだけであることの2点です。何が並んでいるかは、店頭の掲示で確認するのが正確な方法になります。次の項目で、その掲示について書きます。
4. 店に入ったら、登録証と使用上の注意の掲示を見てください
施行規則第28条第2項が、販売する店に対して3つの義務を課しています。①登録証を店舗に掲示すること ②購入しようとする人が見やすい所に使用上の注意事項を掲示すること ③薬事法第48条による開封販売禁止の義務を守ることです。
①と②は、旅行者にとってそのまま確認の手がかりになります。登録証が掲示されている店は、区庁長等の審査を通って登録証の交付を受けた店です。施行規則第22条は、登録基準に適合する場合に安全常備医薬品販売者登録証を交付し、登録から15日以内に医薬品管理総合情報センター長へ通報すると定めています。掲示されている紙は、その手続を経た証拠ということになります。
②の使用上の注意の掲示も、その場で読める情報です。言語の壁があるとしても、スマートフォンの翻訳機能で読める分量ですし、そもそも棚の周りに掲示があるかどうかで、その店が制度に沿って扱っているかがある程度分かります。
5. 1回に買えるのは、品目ごとに1包装だけです
ここが行動に直結する制限です。施行規則第28条第1項は、1回の販売数量を、安全常備医薬品ごとに1個の包装単位に制限することと定めています。
つまり、家族の分や滞在中の予備をその場で買い足す、という買い方はできません。同じ品目を2箱レジに持っていっても、店側は制度上それを1回で売れないということです。旅行中に必要な量が読めるのであれば、出発前に日本で用意しておくほうが、現地で数量制限に当たるより確かです。
この制限は、施行規則が独自に決めたものではありません。薬事法第44条の4が遵守事項として、1回販売数量の制限、年齢による販売制限など、保健福祉部令で定める事項を守ることを挙げていて、その委任を受けた条文が施行規則第28条です。法律の側から数量制限と年齢制限を名指しで求めている、という構造になっています。
第44条の4には他にも、保健衛生上の危害がなく効能が落ちないように施設と医薬品を管理すること、従業員を徹底して監督することが並んでいます。この条文は2012年5月14日に新設されたものです。
6. 12歳未満の子どもには販売できません
年齢の制限も条文で明示されています。施行規則第28条第1項は、12歳未満の児童(初等学校の在学生を含む)には安全常備医薬品を販売しないことと定めています。
読み方に注意が必要なのは、括弧の中です。「初等学校在学生を含む」とあるため、年齢だけでなく在学の状況も判断の要素に入っています。小さなお子さんを連れた旅行で、夜中に子どもの分を買いに行く、という段取りは、この条文が前提としてある以上、当てにできません。
子どもの体調に備えるのであれば、使い慣れた薬を日本から持参するか、医療機関にかかる前提で動くことになります。受診の窓口や費用の扱いは別の記事で扱っていますので、末尾のリンクから参照してください。
7. ばら売りはできません(開封販売の禁止)
施行規則第28条第2項の3号は、薬事法第48条による開封販売禁止の義務を守ることを求めています。箱を開けて1回分だけ、という売り方は制度上できません。
これは買う側にとっては、包装単位でしか手に入らないということです。前の項目の「1回に1包装まで」と合わせると、買える形は「その品目の包装1つ」に固定されると理解しておけば、店頭で戸惑うことはありません。
逆に言えば、開封された状態のものを勧められる場面があれば、それは制度に沿った販売ではありません。掲示の有無と合わせて、判断の材料になります。
8. 症状が続くなら、薬局か医療機関へ
制度の設計そのものを見ると、対象は「主に軽い症状に緊急に使用し、患者自身の判断で使用できるもの」と条文に書かれています。深夜や休日に薬局が閉まっている時間帯をつなぐための仕組みであって、薬局や医療機関の代わりではありません。
したがって、症状が数日続く、熱が下がらない、といった状況で店頭の医薬品を買い足していくのは、制度が想定した使い方から外れます。そのときは薬局が開く時間に相談するか、医療機関にかかる判断が要ります。日本と韓国では医療費の負担の仕組みが違い、旅行者の受診は原則として全額自己負担になりますので、費用の見通しと領収書の扱いは事前に押さえておいてください。
出典と確認時点
この記事は2026年8月5日時点で、韓国の国家法令情報センターが公開する「薬事法」(第44条、第44条の2、第44条の3、第44条の4)、「薬事法施行規則」(第21条、第22条、第28条)、および保健福祉部告示「安全常備医薬品の指定に関する告示」(第2016-156号、2016年8月24日発令・施行)の条文を確認して整理した一般的な内容です。指定品目は告示の別表に定められていますが、別表は添付ファイルの形式であり本文から読み取れなかったため、本記事では個別の品目名・成分名・品目数を記載していません。法令は改正されることがあり、店舗ごとの取り扱いも異なります。実際に購入する際は店頭の掲示をご確認ください。本記事は医療上の助言ではありません。
要点の確認
- 薬事法第44条は医薬品の販売を原則として薬局開設者・薬剤師等に限り、登録した安全常備医薬品販売者を例外として掲げている
- 薬局でない場所で販売するには市長・郡守・区庁長への登録が必要(第44条の2第1項)
- 対象は20品目以内の範囲で保健福祉部長官が告示して指定した医薬品。指定品目は告示の別表に定められている
- 登録の条件は小売業であること・24時間年中無休の店舗・教育の修了・国際標準バーコードで危害医薬品の販売を遮断できるシステム(施行規則第21条)
- 登録前に安全性の確保と品質管理に関する教育を受ける必要がある(第44条の3)
- 1回に買えるのは品目ごとに1個の包装単位まで(施行規則第28条第1項)
- 12歳未満の児童(初等学校在学生を含む)には販売しない(同上)
- 店側は登録証の掲示・使用上の注意事項の掲示・開封販売の禁止を守る義務がある(同条第2項)
- 区庁長等は登録証を交付し、登録から15日以内に医薬品管理総合情報センター長へ通報する(施行規則第22条)
店に入ったら、登録証と注意事項の掲示を一度見る。それだけで、その店で買えるのかどうかが分かります。
薬事法と施行規則は改正されることがあり、告示の指定品目も見直されます。条文や告示に変更があり次第、本記事の記載を更新します。
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