エアコンの「つけっぱなし」で電気代が安くなるのは外出35分までです|ダイキンの実測は日中35分・夜18分、時間を考えずに丸一日つけたままだと1日35.1円高くなりました

「エアコンはつけっぱなしのほうが電気代が安い」という話は、夏になるたびに流れてきます。本当なのか、どこまで本当なのか。ここが分からないまま、暑い部屋に帰ってくる日と、無駄に回し続ける日を行き来している人は多いはずです。
この話には、メーカーが実際に測った数字があります。ダイキン工業が公式サイトで公開している検証は、同じ間取りの2部屋で片方を「つけっぱなし」、もう片方を「30分ごとに入り切り」にして消費電力を計測したものです。その結論は、こうです。
日中9:00〜18:00の時間帯は、30分間であればエアコンを切るより、「つけっぱなし」にするほうが消費電力量は少なかった。ただし同じ検証は、外出の時刻と長さを考えずに一日中つけたままにした場合、こまめに入り切りした部屋より1日で35.1円高くなったとも記しています。つまり、つけっぱなしが安くなるのは条件付きです。
1. 35分と18分。境目は外気温が決めています
ダイキンの検証は、日中と夜で結果が分かれました。公開されている表を読むと、時間帯ごとの平均消費電力量はこうなっています。
- 日中(9:00〜18:00):つけっぱなしの部屋0.37kWh/h、こまめに入り切りした部屋0.40kWh/h → 外出時間の目安35分
- 夜(18:00〜23:00):つけっぱなしの部屋0.34kWh/h、こまめに入り切りした部屋0.27kWh/h → 外出時間の目安18分
同ページは、この結果から日中は、35分までの外出であれば、エアコンを「つけっぱなし」の方が安い、夜は、18分までの外出であれば、エアコンを「つけっぱなし」の方が安いとしています。
なぜ日中と夜で倍近く違うのか。理由も書かれています。通常、エアコンが最も多く電力を消費するのは、外気温と設定温度の差が大きい運転開始直後です。日中は外が暑いので、切ってから点け直すときの立ち上がりが重い。夜は外気温が下がるので、その立ち上がりが軽くなる。だから夜のほうが、切ったほうが有利になる時間が早く来ます。
この検証の条件も押さえておきます。実施は2016年8月、大阪市の鉄筋コンクリート造マンションの約14畳の部屋、冷房26℃設定・風量自動、実施日の最高気温は36℃台。同ページ自身も消費電力は、外気温の変化や陽射しなど天候の影響を大きく受けるため、条件が異なるとこの限りではありませんと断っています。35分・18分は、動かない線ではなく目盛りです。
2. 「一日つけっぱなし」は、実測で1日35.1円高くなりました
同じ検証には、家庭の1日を想定した実験もあります。買い物や外食で家を空ける時間を含めて、片方は一日中つけっぱなし、もう片方は外出時にOFFにする。結果はこうでした。
1日の消費電力量は、つけっぱなしが5.7kWh、こまめに入り切りが4.4kWh。電気代に換算すると153.9円と118.8円で、つけっぱなしのほうが1日で35.1円高い。差がついた区間もはっきりしています。11:00~12:00の買い物の時間、18:00~20:00の外食の時間です。
この換算は電力料金単価を27円/kWhとしたものです。契約している単価が違えば、金額も変わります。
結論として同ページは外出する時刻や時間の長さを考慮せずに「つけっぱなし」にしていると、「こまめに入り切り」するより消費電力量は多くなったとしています。つけっぱなしが安いのは、あくまで短い外出のときです。1時間を超える買い物や、2時間の外食で点けたままにしておく理由は、この実測からは出てきません。
3. 帰宅時の部屋は、1℃と8ポイント違いました
電気代だけで決めきれないのが、この話の難しいところです。同じ検証は、30分の外出から帰宅した14:30時点の室内も測っています。
つけっぱなしにした部屋が温度26.5℃・湿度69%、こまめに入り切りした部屋が温度27.5℃・湿度77%。1℃と、湿度8ポイントの差です。数十円のために、帰宅直後の30分を蒸し暑い部屋で過ごすかどうか、という選択になります。
夜の眠りについても、同社は別の検証を公開しています。就寝後3時間で切るタイマー運転と、朝までつけっぱなしにした運転を、暑さ指数(WBGT)で比べたものです。つけっぱなしではWBGTが23℃ほどに抑えられたのに対し、タイマー運転では明け方に25℃近くまで達したとされています。室内ではWBGT25℃以上が熱中症の「警戒」の目安です。夜間の切タイマーは、電気代のためだけに選ぶ設定ではないということになります。
帰宅時の1℃・湿度8ポイントという差は、部屋に温湿度計を置いておくと自分の家でも同じように確かめられます。
※広告(PR)
4. 分数を数えるより、効く操作があります
ここまでの数字を並べると、ひとつのことに気づきます。外出35分を守って浮くのは、1日あたり数十円のうちの一部です。それより大きく動く操作が、同じメーカーの別の検証に出ています。
2024年に公開された検証では、同じ11時間(8:00〜19:00)の運転で、設定の違いによる消費電力量がこう測られました。
- 風量:弱が3.85kWh、自動が2.79kWh → 自動のほうが約3割少ない
- 風向:ななめ下が3.76kWh、水平が2.77kWh → 水平のほうが約3割少ない
- 室外機の上の濡れタオル:ありが3.87kWh、なしが2.77kWh → なしのほうが約3割少ない
風量を弱くするほうが電気を使わないように思えますが、逆でした。理由も説明されています。エアコンの消費電力は約8割が圧縮機で使われており、風量を弱くすると部屋が冷えるまでに時間がかかって圧縮機の負荷が増える、という構図です。
風向についても同じ考え方です。冷たい空気は床にたまり、天井付近には暖かい空気が残る。一般的なエアコンは、高い位置にある室内機内部の温度センサーで室温を判断しますから、天井付近が暖かいままだとエアコンは冷やし続けます。風向を水平にすると、冷気が天井付近から自然に下りてきて、余分な運転が減ります。
暑く感じたときの操作も検証されています。13:00〜15:00の2時間で、設定温度を1℃下げると1.13kWh、代わりに風量を強にすると0.52kWh。約半分です。体感温度は室温だけでなく気流でも変わるため、温度を下げずに風を強くするという手が使えます。
5. 公的な資料が示している目盛り
メーカーの実測とは別に、資源エネルギー庁の省エネポータルサイトにも、行動ごとの年間の節約額が載っています。冷房についてはこの3つです。
- 外気温31℃のとき、冷房の設定温度を27℃から1℃上げる(9時間/日)→ 年間で電気30.24kWh、約940円
- 冷房を1日1時間短縮する(設定温度28℃)→ 年間で電気18.78kWh、約580円
- フィルターを月に1回か2回清掃する → 年間で電気31.95kWh、約990円
同サイトは冷房期間を3.6か月(6月2日〜9月21日)112日としています。ここから計算すると、1日1時間短縮の約580円は1日あたり約5円にあたります。1時間切って浮くのが5円規模だとすれば、35分の外出で切るか切らないかの差は、その一部です。
一方で、設定温度を1℃上げるほうは年間約940円。フィルターの清掃は年間約990円。どちらも「その日一回だけ」ではなく、シーズンを通して効き続ける操作です。数分の外出で切るかどうかを気にするより、温度と風向と清掃を整えるほうが、手間あたりの効き方は大きいということになります。
なお、これらの金額は電気を31円/kWhとして換算されたもので、同サイトは「ご使用の機器・居住地域・住宅などにより異なります」と注記しています。
6. 部屋のほうを整えると、エアコンの仕事が減ります
資源エネルギー庁の同ページには、機器の設定ではなく部屋側の工夫も並んでいます。ドア・窓の開閉は少なく。レースのカーテンやすだれなどで日差しをカット。外出時は、昼間でもカーテンを閉めると効果的。そして扇風機を併用。風がカラダにあたると涼しく感じます。
室外機についても、室外機の吹出口にものを置くと、冷暖房の効果が下がりますと書かれています。ダイキンの検証で濡れタオルが逆効果になったのも、吸込口や吹出口をふさいだためと説明されています。室外機の周りは、何も置かないのが正解ということです。
どれも、リモコンを押すより先にできることです。エアコンの設定を細かく詰める前に、部屋のほうで熱の出入りを減らしておくと、同じ設定でも運転が軽くなります。
資源エネルギー庁が挙げる「扇風機を併用」を、風向を水平にして冷気を部屋に回す使い方に寄せるなら、サーキュレーターのほうが向いています。
※広告(PR)
出典と確認時点
この記事は2026年8月16日時点で、ダイキン工業の公式ページ「mission5-1 夏のエアコンつけっぱなし検証」、同社ニュースリリース「エアコンの効果的な節電術で削減できる電気代を4つのケースで調査」(2024年4月24日/2025年7月11日一部修正)、および資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「無理のない省エネ節約/空調」を取得して整理した一般的な内容です。ダイキンの検証は2016年8月(大阪市・鉄筋コンクリート造・約14畳・冷房26℃設定・風量自動)と2023年夏に行われたもので、電気代の換算は27円/kWh、資源エネルギー庁の換算は31円/kWhによります。同社は「条件が異なるとこの限りではありません」、資源エネルギー庁は「ご使用の機器・居住地域・住宅などにより異なります」と注記しています。サーキュレーターや温湿度計の製品ごとの仕様、冬の暖房における分岐時間、機器の買い替えによる差額については、本稿では確認していません。ご契約の電気料金単価はお使いの電力会社にご確認ください。
要点の確認
- つけっぱなしのほうが電気代が安くなる外出時間の目安は、日中(9〜18時)35分・夜(18〜23時)18分
- 境目が動く理由は、エアコンが最も電力を使うのは外気温と設定温度の差が大きい運転開始直後だから
- 外出の時刻と長さを考えずに一日つけたままだと、実測で1日35.1円高くなった(つけっぱなし5.7kWh/こまめ4.4kWh、27円/kWh換算)
- 30分の外出から帰った部屋は、つけっぱなし26.5℃・湿度69%、こまめ27.5℃・湿度77%
- 風量は「自動」が約3割少ない。風向は「水平」が約3割少ない。消費電力の約8割は圧縮機
- 暑いときは設定温度を1℃下げるより風量「強」のほうが消費電力量は約半分
- 室外機に濡れタオルを載せると逆効果(あり3.87kWh/なし2.77kWh)
- 資源エネルギー庁の目安は、設定温度1℃上げる=年約940円、1日1時間短縮=年約580円(冷房期間112日で割ると1日あたり約5円)、フィルター清掃=年約990円
- 夜間は、電気代よりWBGTで判断する。つけっぱなしで23℃ほど、切タイマーは明け方25℃近く
リモコンの風向を水平にする。今日できるのは、まずそこです。
電力料金の単価や各社の検証内容は更新されます。数値の改定が確認でき次第、本記事も見直します。
あわせて読みたい
・夏の電気代、補助だけで足りる?フィルター掃除で年約990円が上乗せで浮きます
・電気・ガス代の補助が再開|2026年7〜9月使用分、標準家庭で夏いくら安くなる?申請は?
・スマホ料金の見直し、一番多い失敗は「家族割が外れる」|オンライン専用プランと格安SIMの違い
コメント
コメントを投稿