セルフメディケーション税制とは?医療費控除との違い・対象・確定申告での申告方法【2026年】

税金の基本ガイド|くらしとお金の手帖

セルフメディケーション税制とは、健康診断や予防接種など健康の保持増進・疾病予防への取組をしている方が、対象の市販薬(スイッチOTC医薬品等)を年間で一定額を超えて購入した場合に、その超えた分を所得から差し引ける「医療費控除の特例」です。通常の医療費控除とは選択適用となり、両方を同時に使うことはできません。下限額・上限額・適用期限といった制度の数字は年度や税制改正で変わる可能性があるため、申告前に必ず国税庁の公式情報でご確認ください。

セルフメディケーション税制とは何か

セルフメディケーション税制は、正式には「特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」といい、通常の医療費控除とは別枠の制度として設けられています。対象となるスイッチOTC医薬品等を、その年の1月1日から12月31日までの間に薬局やドラッグストアなどで購入した金額が一定の下限額を超えた場合、その超えた部分(上限あり)を所得から差し引くことができるとされています(出典:国税庁 タックスアンサーNo.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】)。「セルフメディケーション」という名前のとおり、軽度な体調不良は市販薬で自分で手当てすることを後押しする趣旨で設けられた制度と説明されています。あくまで所得控除であるため、支払った購入費がそのまま戻ってくるわけではない点は、通常の医療費控除と同じ考え方です。

通常の医療費控除との関係|選択適用でどちらか一方のみ

セルフメディケーション税制は、通常の医療費控除の「特例」という位置づけです。そのため、同じ年について両方の制度を併用することはできず、いずれか一方を選んで申告する「選択適用」とされています(出典:国税庁 タックスアンサーNo.1131 セルフメディケーション税制と通常の医療費控除との選択適用)。どちらが有利になるかは、その年の医療費の総額やスイッチOTC医薬品の購入額、所得の状況によって人それぞれ異なるため、一概にどちらが得とは言えません。実務としては、通常の医療費控除で計算した場合の控除額と、セルフメディケーション税制で計算した場合の控除額の両方を試算し、大きい方を選ぶという考え方が一般的とされています。通常の医療費控除の仕組みや対象費用については、医療費控除のやり方で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。なお、国税庁の説明では、セルフメディケーション税制を選択して確定申告書を提出した後は、その後の更正の請求や修正申告によって通常の医療費控除へ適用を変更することはできないとされていますので、申告前の試算が重要です。

適用を受けるための要件|「一定の取組」が必要

セルフメディケーション税制の適用を受けるには、その年に「健康の保持増進および疾病の予防への一定の取組」を行っていることが要件とされています。国税庁の説明では、具体例として次のようなものが挙げられています。

  • 保険者(健康保険組合など)が実施する健康診査(人間ドックや各種健診)
  • 市区町村が実施する健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査など)
  • 予防接種(定期予防接種、インフルエンザワクチンの予防接種など)
  • 勤務先で実施される定期健康診断(事業主による健康診断)
  • 特定健康診査(いわゆるメタボ健診)、特定保健指導
  • 市区町村が健康増進事業として実施するがん検診

(出典:国税庁 タックスアンサーNo.1129)これらのうち、いずれか一つでもその年中に受けていれば要件を満たすとされています。裏を返せば、市販薬をたくさん購入していても、健診や予防接種などの「取組」を全く行っていない年は、この特例の対象にならない可能性がありますので注意が必要です。取組の範囲は制度改正で見直される場合があるため、ご自身が受けた健診・予防接種等が対象になるかは、申告前に国税庁の最新の案内でご確認ください。

対象になる医薬品|スイッチOTC医薬品等の確認方法

対象となるのは「スイッチOTC医薬品等」と呼ばれる特定一般用医薬品です。これは、医師によって処方される医療用医薬品から、薬局等で購入できる一般用医薬品(OTC医薬品)に転用(スイッチ)された医薬品等を指すとされています(出典:国税庁 タックスアンサーNo.1132 セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購入費)。対象品目は厚生労働省が一覧(リスト)として公表しており、随時更新されています(出典:厚生労働省 セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について)。

自分が購入した薬が対象かどうかを毎回リストで調べるのは大変ですが、実務上はレシート(領収書)を見れば判断できるようになっています。国税庁の案内でも、対象とされる医薬品は購入した際の領収書(レシート)に控除対象である旨が記載されるとされています。また、一部の対象医薬品については、薬のパッケージにセルフメディケーション税制の対象である旨を示す識別マークが掲載されている商品もあるとされています。レシートは確定申告の際の集計・保管に使いますので、対象表示がある商品の金額をこまめにメモまたは保管しておくとスムーズです。

下限額・控除上限額|金額基準は公式サイトで要確認

セルフメディケーション税制には、対象医薬品の年間購入費が「一定の下限額」を超えた場合に、その超えた部分(上限あり)を控除できるという仕組みがあります。国税庁のタックスアンサーNo.1129では、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額から12,000円を差し引いた金額(最高88,000円まで)を控除額とする、と説明されています(出典:国税庁 タックスアンサーNo.1129)。もっとも、税制上の金額基準は改正によって変更される可能性がゼロではなく、申告年分によって基準額が異なる可能性もあります。実際に申告書を作成する際は、必ずご自身が申告する年分の国税庁公式情報・確定申告書等作成コーナーの案内で最新の金額をご確認ください。

手続き|年末調整では受けられず確定申告が必要

セルフメディケーション税制は、会社員の方であっても年末調整では適用を受けられません。医療費控除と同様に、適用を受けるには「セルフメディケーション税制の明細書」を確定申告書に添付して、ご自身で確定申告を行う必要があるとされています(出典:国税庁 確定申告特集 セルフメディケーション税制)。確定申告そのものの流れや必要な準備については、確定申告の基本の記事でも解説していますので参考にしてください。

申告にあたって主に必要とされているのは次のような書類・情報です。

  • セルフメディケーション税制の明細書(購入した対象医薬品の金額などをまとめて記載する書類)
  • 対象医薬品を購入したことがわかるレシート・領収書(対象表示があるもの)の情報
  • その年に「一定の取組」を行ったことを明らかにする書類(健診結果通知表、予防接種の領収書や案内はがきなど)

国税庁の案内では、対象医薬品を購入した際の領収書および「一定の取組」を行ったことを明らかにする書類は、申告書への添付は不要とされていますが、内容を明細書に記載する必要があり、自宅で5年間保管する必要があるとされています。保管期間や添付・提示の要否、明細書の様式は変更される可能性があるため、申告前に国税庁の最新の案内でご確認ください。

控除額の計算イメージ

控除額の考え方は、次のようなイメージで説明されています。

項目内容
対象となる購入費その年に薬局等で購入した対象のスイッチOTC医薬品等の合計額(保険金などで補てんされた金額は差し引く)
下限額この下限額(国税庁No.1129では12,000円)を超えた部分が対象
控除上限額控除できる上限額(国税庁No.1129では最高88,000円)
控除額の計算(対象購入費の合計 − 下限額)= 控除額(上限額まで)

上記の金額は国税庁タックスアンサーNo.1129に基づく現行の数値ですが、税制改正で変わる可能性があるため、申告年分の公式情報でご確認ください。実際の還付額は、この控除額に応じて税負担がどれだけ軽くなるかで決まるため、所得水準などによって一人ひとり異なります。ご自身の場合の具体的な金額については、確定申告書等作成コーナーでのシミュレーションや税務署・税理士への相談をおすすめします(個別の税務相談は本記事の範囲を超えるため、公式窓口をご利用ください)。

適用期限|必ず最新の公式情報で確認を

セルフメディケーション税制には適用期限が設けられており、過去にも税制改正によって延長されてきた経緯があります。国税庁のタックスアンサーNo.1129では、この特例の対象期間は「平成29年1月1日から令和8年12月31日まで」と記載されています(出典:国税庁 タックスアンサーNo.1129)。ただし、この期限はこれまでも延長されてきており、今後の税制改正によって再延長・変更される可能性があります。確定申告のタイミングで必ず国税庁のタックスアンサーNo.1129、および国税庁の確定申告特集ページで最新の適用期限をご確認ください。

まとめ:要点3行

  • セルフメディケーション税制は、健診・予防接種など「一定の取組」をした人が対象のスイッチOTC医薬品等を一定額超購入した場合に使える、医療費控除の特例(通常の医療費控除とは選択適用)です。
  • 対象品目はレシートの表示で確認でき、適用には年末調整ではなく確定申告と明細書の添付が必要です。
  • 下限額・上限額・適用期限などの数値は変更される可能性があるため、申告前に必ず国税庁・厚生労働省の公式サイトで最新情報を確認しましょう。

公式サイトで最新情報を確認

※本記事は2026年7月時点の一般的な制度の整理であり、具体的な金額基準・期限・要件は必ず公式の最新情報をご確認ください。本記事は特定の個人に対する税務相談ではありませんので、個別の判断が必要な場合は税務署や税理士にご相談ください。あわせて、通常の医療費控除のやり方確定申告の基本もあわせてご覧いただくと、制度全体の理解が深まります。

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