医療費控除の差し引き額は「10万円」と「総所得金額等の5%」の低いほうです|医療費・補てん額・総所得を入れると、控除額とセルフメディケーション税制のどちらが大きいかまで出る計算ツール

1年分の領収書を数え終えたあと、次に出てくる疑問は「これで控除が出るのか」です。国税庁のタックスアンサーNo.1120は、その判定を式で書いています。医療費の合計から補てん額を引き、そこからもう一段引く金額が決まっている、という形です。
その「もう一段」が10万円だと思われがちですが、注記があります。総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5パーセントです。下のツールは、この切り替えを含めて控除額を出し、市販薬中心の人のためにセルフメディケーション税制の額も並べて比べます。
1. 医療費控除の対象額 計算ツール
医療費控除=(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)/最高200万円
セルフメディケーション税制=特定一般用医薬品等購入費のうち12,000円を超える部分(88,000円を限度)/通常の医療費控除との選択
出典:国税庁 タックスアンサー No.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
確認日:2026年9月1日
2. 「10万円の壁」は、全員に当てはまる数字ではありません
No.1120の式の末尾には(2)として10万円が置かれ、その下に注記が付いています。「その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5パーセントの金額」です。総所得金額等が150万円なら差し引く額は7万5千円になり、医療費が10万円に届かなくても控除額が出ます。
ここで入れる総所得金額等は、給与の額面ではありません。給与所得者なら源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」にあたる数字です。額面を入れると差し引く額が実際より大きく出て、控除が0円に見えることがあります。
3. 補てん額は、目的になった医療費からだけ引きます
集計でいちばん損をしやすいのが2番目の欄です。No.1120は補てん額について「その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きますので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。」と書いています。
つまり、入院で受け取った給付金が入院費を上回ったとしても、その余りを別の通院分から引く必要はありません。給付金を医療費の総額から丸ごと引いてしまうと、控除額を自分で削ることになります。
補てん額の代表が高額療養費です。その金額そのものは別の式で決まるので、いくら戻るのかを先に出しておくと集計が早くなります。そちらは高額療養費の自己負担限度額は、令和8年8月から「85,800円+(医療費-286,000円)×1%」ですの計算ツールで出せます。
4. 市販薬中心なら、もう一方の額と並べて見ます
No.1120の同じページには、セルフメディケーション税制も書かれています。「特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金等により補填される部分の金額を除きます。)のうち、12,000円を超える部分の金額(88,000円を限度)を控除額とする」もので、通常の医療費控除との選択です。適用の対象期間は平成29年1月1日から令和8年12月31日までと書かれています。
ツールの4番目の欄に市販薬の購入費を入れると、両方の控除額が並びます。ただし金額が大きいほうを自動的に選べるわけではありません。セルフメディケーション税制には、その年に健康診査や予防接種などの取組を行っていること、という要件があります。
5. 数字を出したあとの手続きで確認する3つ
手続きの側にも決まった順番があります。医療費控除は勤務先の手続きでは処理されないため、自分で申告することになります。その線引きは年末調整で医療費控除はできる?できません。ふるさと納税と住宅ローン控除の1年目も確定申告ですで扱っています。
出典と確認時点
この記事の計算ツールは、2026年9月1日に取得した国税庁 タックスアンサー No.1120「医療費を支払ったとき(医療費控除)」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm・掲載は令和7年4月1日現在法令等)に記載された式を、そのまま計算式にしたものです。出てくる数字は概算であり、控除の可否と金額を最終的に判断するのは所轄の税務署です。どの支出が医療費控除の対象になるかの線引き、生計を一にする親族の範囲、補てん額の割り当て、セルフメディケーション税制の対象医薬品と「一定の取組」の要件などによって結果は変わります。出てくるのは所得控除の額であり、還付される税額ではありません。申告の可否や書類の準備は、必ず税務署または税理士にご確認ください。この記事は個別の税務判断を代行するものではありません。
要点の確認
- 式は(医療費の合計-補てん額)-差し引き額で、上限は200万円
- 差し引き額は10万円だが、総所得金額等が200万円未満なら総所得金額等の5%
- 総所得金額等150万円なら差し引き額は75,000円
- 補てん額はその給付の目的となった医療費を限度として引く
- 引ききれない補てん額を他の医療費から引く必要はない
- セルフメディケーション税制は12,000円を超える部分・88,000円が限度
- この2つは選択で、同時には使えない
- 出てくるのは所得控除の額で、戻る税額そのものではない
あわせて読みたい
・高額療養費の自己負担限度額の計算ツール
・年末調整で医療費控除はできる?できません
コメント
コメントを投稿