住宅ローン控除、1年目は年末調整で受けられません|初年度だけ確定申告、2年目から勤務先に2枚出します

家を買った年の秋、会社から年末調整の用紙が配られます。ここで「住宅ローン控除も一緒に書けばいい」と考えてしまうところですが、初年度だけは年末調整では処理できません。
国税庁の説明でも、控除を受ける最初の年分は確定申告書に必要書類を添えて税務署に提出することとされており、給与所得者が年末調整で受けられるのは2年目以後です。控除額は年末残高等の0.7%。ここを1年分取りこぼすと、戻ってくるはずのお金がそのまま消えます。
この記事の要点
・控除額は年末残高等×0.7%(100円未満切捨て)
・初年度は確定申告、2年目以後は年末調整で受けられます
・2年目以後に勤務先へ出すのは税務署から届く証明書兼申告書と金融機関の年末残高等証明書の2枚
・親族・知人からの借入金は対象外。住宅ローンなら何でも通るわけではありません
1. 1年目にやること——確定申告で出す書類
国税庁が挙げている共通の提出書類は次のとおりです。年をまたぐ前にそろえ始めないと、3月に間に合いません。
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(連帯債務があるときは付表も)
- 金融機関等から交付された住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
- 家屋の登記事項証明書など、床面積の要件を満たすことがわかる書類
- 家屋の工事請負契約書または売買契約書の写しなど、取得対価の額がわかる書類
- 土地の借入金についても控除を受ける場合は、土地の登記事項証明書と売買契約書の写しなど
- 自治体から補助金等の交付を受けた場合はその額を証する書類
- 住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合はその額を証する書類の写し
補助金や贈与を受けている場合、その額は取得対価から差し引いて計算します。ここを申告し忘れると、控除額が過大になり、あとから修正を求められます。
2. 2年目以後は「2枚を会社に出す」だけです
初年度の確定申告を済ませると、税務署から年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書が送られてきます。給与所得者は、これと金融機関の年末残高等証明書を勤務先に提出することで、年末調整で控除を受けられます。
税務署から届く用紙は「なくすと止まります」
この証明書兼申告書は税務署から送付されるもので、勤務先が用意してくれる書類ではありません。引っ越しや保管の都合で見当たらなくなると、その年は年末調整で処理できず、自分で確定申告することになります。ローン関係の書類と同じ場所に保管してください。
なお、確定申告を選ぶ場合の2年目以後は、計算明細書(必要なら付表)と年末残高等証明書を添付すれば足ります。
3. そもそも対象になる家か——落ちやすい要件
国税庁が挙げる共通の適用要件のうち、実務で引っかかりやすいのは次の点です。
- 取得等の日から6か月以内に居住し、その年の12月31日まで引き続き住んでいること
- 床面積が50平方メートル以上で、2分の1以上を自分の居住用にしていること
- その年分の合計所得金額が2,000万円以下であること
- 床面積40平方メートル以上50平方メートル未満の特例に当たる場合は、合計所得金額1,000万円以下
- 返済期間が10年以上に分割されている借入金であること
- 生計を一にする親族など特別な関係のある人からの取得ではないこと、贈与による取得ではないこと
床面積は登記事項証明書に表示されている面積で判定します。マンションは共用部分を含まない専有部分の面積、夫婦の共有名義でも持分ではなく建物全体(区分所有ならその専有部分)の面積で見ます。パンフレットの「専有面積」と登記面積が一致しないことがあるため、契約書ではなく登記の数字で確認してください。
4. 「住宅ローン」でも対象外になる借入金があります
国税庁は対象となる借入金を限定しています。次のものは金利や名目にかかわらず対象外です。
- 親族や知人からの借入金はすべて対象外
- 勤務先からの借入金で、無利子または年0.2%に満たない利率のもの
親からお金を借りて返済しているケースは、契約書を交わし、利息をつけ、実際に返済していても控除の対象になりません。ここを前提に資金計画を組むと、想定していた還付が丸ごと消えます。
5. 控除の上限は住宅の性能で変わります(令和6年・令和7年入居分)
控除額は年末残高等×0.7%ですが、各年の控除額には住宅の区分ごとの上限があります。以下は国税庁が示す、令和6年・令和7年に居住を開始した新築等の場合の控除限度額です。控除期間はいずれも13年です。
子育て世帯・若い夫婦世帯にあたる特例対象個人が控除を受ける場合は、この上限が引き上げられます。
| 住宅の区分 | 控除限度額 | 特例対象個人の場合 |
|---|---|---|
| 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅 | 31.5万円 | 35万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 24.5万円 | 31.5万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 21万円 | 28万円 |
特例対象個人とは、40歳未満で配偶者がいる人、40歳以上で40歳未満の配偶者がいる人、または19歳未満の扶養親族がいる人です。判定は居住年の12月31日の現況で行います。年末時点で子が19歳になっているかどうかで結論が変わります。
省エネ基準を満たさない「その他の住宅」は0円です
令和6年・令和7年に入居した「その他の住宅」(認定住宅等に当たらない住宅)は、控除期間0年・控除限度額0円とされています。ただし、令和5年12月31日までに建築確認を受けたもの、または令和6年6月30日までに建築されたものは、控除限度額14万円で10年間の控除が受けられます。建築確認の日付が結論を分けるため、確認済証で日付を確かめてください。
6. 売却の特例と同時には使えません
買い替えで前の家を売った方は、ここで衝突が起きます。居住年およびその前2年・その後3年の計6年間に、次のような譲渡所得の課税の特例の適用を受けていると、住宅ローン控除は使えません。
- 居住用財産の譲渡所得の特別控除(いわゆる3,000万円の特別控除)
- 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
- 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例 など
「売却益の特例」と「住宅ローン控除」は、どちらが有利かを比べて選ぶ関係にあります。先に売却側の特例を使ってしまうと、あとから住宅ローン控除に戻ることはできません。売却が絡む場合は申告前に税務署か税理士に相談してください。
出典と確認時点
この記事は2026年8月4日時点で、国税庁タックスアンサーNo.1211-1(表示は[令和7年4月1日現在法令等])およびNo.1225の内容を確認して整理した一般的な内容です。掲載した控除限度額は令和6年・令和7年に居住を開始した新築等の場合のものです。中古住宅・増改築や、これ以外の年に入居した場合の取扱いは別のコードで定められているため、入居した年に対応する国税庁の該当ページで確認してください。個別の判定は所轄の税務署にご相談ください。
要点の確認
- 控除額は年末残高等×0.7%。初年度は確定申告、2年目以後は年末調整
- 2年目以後に会社へ出すのは税務署からの証明書兼申告書と年末残高等証明書の2枚
- 入居は取得から6か月以内、床面積は登記事項証明書の数字で判定
- 親族・知人からの借入金は対象外。勤務先からの0.2%未満の借入も対象外
- 令和6年・令和7年入居分の控除限度額は31.5万円/24.5万円/21万円(特例対象個人は35万円/31.5万円/28万円)
初年度の確定申告は、書類を集める時間が読めない手続きです。年末残高等証明書が届く秋のうちに、登記事項証明書と契約書の写しを同じ封筒に入れておくと、2月からの作業が1日で終わります。
控除の限度額と適用年は税制改正で変わる部分です。国税庁の該当ページの改訂を確認し次第、本記事を更新します。
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