連休に国内の宿が取れないのは、ビジネスホテルとシティホテルのほうです|2025年の客室稼働率は旅館38.2%・ビジネスホテル75.3%、90%を超えた都道府県は1つもありませんでした

連休の予定が決まると、まず頭に浮かぶのが「宿はもう無理だろう」です。検索して数件しか出てこない画面を見ると、その感覚は当たっているように思えます。
ところが国の統計を開くと、少し違う絵が見えます。観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2025年の全国の客室稼働率は61.6%。年間を通して、客室のおよそ4割は使われていません。しかもこの数字は施設のタイプでまったく違います。ビジネスホテルは75.3%、シティホテルは74.1%に対して、旅館は38.2%、簡易宿所は29.6%です。
もう一つ、調べてみて分かったことがあります。2025年の確定値を12か月 × 47都道府県のすべてで見ても、客室稼働率が90%を超えた組み合わせは1つもありませんでした。いちばん高かったのは大阪府の10月で84.9%です。
1. 客室稼働率とは何を割った数字か
宿泊旅行統計調査は、観光庁が毎月公表している統計です。2025年分は確定値が出ており、都道府県別・施設タイプ別まで表になっています。
その中の第8表が客室稼働率です。使われた客室の数を、用意されている客室の数で割った割合で、表の見出しにも単位として「(%)」と書かれています。数字が高いほど埋まっている、という素直な読み方でかまいません。
ここで押さえておきたいのは、これが月単位の平均だという点です。連休の3日間だけを切り出した数字ではありません。ですから「連休の当日は8割どころではない」という実感と、月平均61.6%という数字は、どちらも正しいまま両立します。
2. 施設タイプで倍近い差がついています
2025年の全国値を施設タイプ別に並べると、こうなります。
ビジネスホテルと旅館の差は、およそ2倍です。予約サイトで「満室」の表示ばかり並ぶのは、多くの人が同じ側――駅前のビジネスホテルとシティホテル――を最初に見ているからだと、この数字は示しています。
従業者数で切っても似た傾向が出ます。従業者0〜9人の小さな施設は35.6%で、10〜29人は70.4%、30〜99人は71.5%、100人以上は70.8%です。小さい宿ほど空いているという並びです。
3. 月ごとの動きは、思ったより小さいです
2025年の全国値を月別に並べると、いちばん低い1月が54.6%、いちばん高い10月が66.6%。年間の振れ幅は12ポイントほどです。連休のある月が突出して高いわけではありません。
施設タイプ別に見ると、動きの形が違うのが分かります。ビジネスホテルは10月が81.4%で最も高く、11月が80.1%。一方、旅館が最も高いのは8月の45.7%で、簡易宿所も8月の39.1%が最高です。夏休みには旅館側に人が動き、秋の平日を含む月にはビジネスホテル側が締まる、という読み方ができます。
都道府県別では、2025年の年計で大阪府78.6%、東京都76.3%、福岡県72.1%、愛知県69.2%、京都府66.8%が上位。下位は長野県39.0%、山梨県43.8%、新潟県46.1%、福井県46.2%、群馬県46.8%でした。上位は都市部、下位は旅館の比率が高い地域という並びです。
4. 「何日前に予約すれば取れるのか」は、統計に書かれていません
ここははっきり書いておきます。宿泊旅行統計調査は、予約がいつ入ったかを調べていません。調べているのは、実際に何室が使われたかと、何人が泊まったかです。
ほかに予約時期を公表している公的な統計も、本稿では確認できませんでした。ですから「連休の宿は◯日前まで」という日数は、この記事では出しません。出せる数字がないところに数字を置くのは、読む側にとって害になります。
代わりに言えることがあります。同じ日でも、施設タイプを変えれば見えている在庫が入れ替わる。稼働率が38.2%の側と75.3%の側では、そもそも残っている部屋の母数が違います。予約サイトの検索条件で宿タイプを切り替えるのは、数秒で終わる操作です。
5. 検索し直すときの順番
3つ目を入れているのは、先に押さえておく判断がしやすくなるからです。取り消せる期限が分かっていれば、日程が固まる前でも動けます。
なお本稿の数値は2025年の確定値です。2026年分は月次の速報が順次出ている途中で、確定値はまだ出ていません。宿泊料金そのものは、この調査の対象外です。
その日のうちに押す場合は、受付が何時で切れるかも一緒に見ておきます。宿泊当日の29時(朝5時)まで予約できる仕組み
泊数が1週間を超えると、探し方そのものが変わります。1週間を超えて同じホテルに泊まるときの扱い
施設タイプを旅館や簡易宿所まで広げて空きを見るなら、料金のほうは予約サイト側で確かめることになります。
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同じ日程でも、部屋の取り方を変えると出てくる候補が入れ替わります。家族4人は「1室4名」と「2室2名」のどちらにするかを、添い寝の条件から決める
出典と確認時点
この記事は2026年8月16日時点で、観光庁「宿泊旅行統計調査」2025年(令和7年)1〜12月分 確定値の集計結果ファイルを取得し、第8表(客室稼働率)を年計・月別・都道府県別・宿泊施設タイプ別で読み出して整理した一般的な内容です。この調査は予約の時期を調べていないため、「何日前に予約すれば取れるか」は本稿では扱っていません(ほかに公表している公的統計も確認できませんでした)。宿泊料金・単価もこの調査の対象外です。公表は月次までで、連休の日単位の数値は取得していません。2026年分は速報の段階であり、本稿の数値は2025年確定値です。統計は改定されることがあります。予約時点の空室と条件は各予約サイトおよび宿泊施設の案内でご確認ください。
公式の統計ページを開いて確認したこと(2026年8月24日)
観光庁の宿泊旅行統計調査のページ(mlit.go.jp 宿泊旅行統計調査)を開いて分かるのは、施設タイプ別の客室稼働率がページ上の表として置かれてはいない、ということです。数値は「第1次速報」「第2次速報」「確定値」の3段階で公開され、2025年(1〜12月)の年の確定値は2.5MBのExcelと640KBのPDFを開いて初めて読めます。ページを眺めるだけでは施設タイプの比較はできません。もうひとつ、同じページの上部に見落としやすい注記があります。2026年(令和8年)1月調査分より、宿泊施設の区分け(層化変数)が「従業者数」から「客室数」へ変更されたというものです。本文で触れている従業者数別の内訳は、この変更の前の物差しで作られた数字にあたります。区分けの基準そのものが入れ替わるため、2026年以降に出てくる施設タイプ別・規模別の数値を、それ以前の年とそのまま並べて比べるのは適切ではありません。変更の詳細と質疑応答は、同じページからPDFで配布されています。
要点の確認
- 2025年の全国の客室稼働率は61.6%(観光庁 宿泊旅行統計調査 確定値)
- 施設タイプ別はビジネスホテル75.3%・シティホテル74.1%・リゾートホテル56.9%・旅館38.2%・簡易宿所29.6%
- 従業者0〜9人の施設は35.6%、10人以上の施設は70%台
- 月別の全国値は1月54.6%が最低、10月66.6%が最高で振れ幅は12ポイントほど
- 旅館の最高月は8月の45.7%、ビジネスホテルの最高月は10月の81.4%
- 都道府県の年計上位は大阪府78.6%・東京都76.3%・福岡県72.1%、下位は長野県39.0%
- 12か月×47都道府県のすべてで90%以上は0件、最大は大阪府10月の84.9%
- 予約時期は統計に存在しないため、日数の目安は本稿では示していない
検索条件の宿タイプを1つ変える。見えている在庫は、その1回で入れ替わります。
宿泊旅行統計調査は毎月更新されます。2026年の確定値が公表され次第、本記事も見直します。
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