韓国のホテルで歯ブラシが出てこないのは、法律が無償での提供を禁じているからです|対象は客室50室以上、有償での販売までは止められていません

韓国の宿泊業は客室50室以上で使い捨てのかみそり・歯ブラシ・シャンプーの無償提供が禁止されている
韓国旅行
歯ブラシが無いのは、法令が「無償」を禁じているから
くらしとお金ラボ

韓国のホテルに着いて、洗面台に歯ブラシもかみそりも置かれていない。宿のランクの問題だろうか、それとも自分が予約した部屋のタイプの問題だろうか。まずそこが気になると思います。そして次に来るのが、では現地で手に入るのか、という一点でしょう。

これは宿の方針ではなく、法令の話です。韓国の資源の節約と再活用促進に関する法律の第10条第1項は、対象となる業種の事業者について1回用品の使用を抑制し、無償で提供してはならないと定めています。宿泊業がその対象に入るのは客室が50室以上の場合に限るという条件つきです。そして条文が止めているのはあくまで無償で提供することであって、有償での提供までは禁じていません。

数字インパクトカード 宿泊業が無償提供禁止の対象になるのは客室50室以上であることを示すカード 宿泊業が対象になるのは、客室が 50 単位は室。条文は「客室が50室以上の場合に限る」

1. 条文が禁じているのは「無償で提供すること」です

まず法律の側の書き方を正確に押さえます。第10条第1項は、対象の施設・業種を経営する事業者に対して二つのことを求めています。ひとつは1回用品の使用を抑制すること、もうひとつは無償で提供しないことです。この二つは並んでいますが、同じ意味ではありません。

どちらが課されるかは品目ごとに違い、施行規則の別表2が品目と遵守事項を対応させています。宿泊業と浴場業の欄に書かれているのは無償提供禁止のほうです。使ってはならない、ではありません。

さらに同じ第1項にはただし書きがあります。ただし、1回用品が生分解性樹脂製品である場合には無償で提供することができるという内容です。素材によっては無償でも構わない、という抜け道が法律のレベルで用意されています。その生分解性樹脂製品に当たるかどうかの具体的な基準は、本稿では確認していません

整理すると、置かれていない理由は「配ってはいけないから」ではなく「ただで配ってはいけないから」です。ここが分かると、フロントで尋ねるという行動につながります。

2. 宿泊業は客室50室以上。品目は3つ、条文に名指しされています

対象を決めているのは第10条第1項第3号で、公衆衛生管理法第2条第1項第2号の宿泊業(客室が50室以上の場合に限る)または同項第3号の浴場業と書かれています。50室という線が法律の条文そのものに置かれている点が重要です。

そして施行規則の別表2 第3号が、同じ宿泊業(客室が50室以上の場合に限る)および浴場業について、対象になる1回用品を三つ挙げています。1回用かみそり1回用歯ブラシおよび歯みがき1回用シャンプーおよびリンスです。遵守事項の欄は無償提供禁止

荷造りに落とすなら、この三つがそのまま持ち物リストになります。歯ブラシと歯みがき、かみそり、シャンプーとリンス。逆に言えば、別表2のこの欄に書かれていない品目については、無償提供禁止の対象として名指しされてはいません。

また、条文は客室が50室以上の場合に限ると範囲を絞っています。それより小さい宿は、この号による対象からは外れる書き方になっています。ただし宿ごとの実際の運用まで条文が決めるわけではないので、置いてあるかどうかは宿の案内で確かめてください。

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別表2が業種ごとに書いている遵守事項
宿泊業(50室以上)・浴場業
無償提供禁止(かみそり・歯ブラシと歯みがき・シャンプーとリンス)
食品接客業・集団給食所
使用抑制(コップ・皿・容器・割りばし・ストローなど)
大規模店舗
使用抑制(袋とショッピングバッグ、傘用ビニール)
体育施設
無償提供禁止(合成樹脂材質の応援用品は使用抑制)

3. カフェの店内で使い捨てが出てこないのも、同じ条文の別の欄です

宿と同じ第10条第1項の第1号に、食品接客業と集団給食所が入っています。カフェや飲食店がここです。別表2 第1号の欄には、対象になる1回用品がずらりと並びます。1回用コップ(合成樹脂コップおよび金属箔コップ等)、1回用皿、1回用容器、1回用の割りばしおよびつまようじ、1回用のスプーン・フォークおよびナイフ、1回用ビニールテーブルクロス、1回用ストローおよびマドラー。遵守事項の欄は使用抑制です。

宿泊業の欄が無償提供禁止だったのに対し、こちらは使用抑制。有償にすれば済むという話ではなく、使うこと自体を抑えるよう求められている、という違いになります。店内でマグカップやガラスのコップが出てくるのは、この欄の帰結です。

ただし、大きな例外が法律の第10条第2項に用意されています。第1号は、集団給食所や食品接客業所の外の場所で消費する目的で顧客に飲食物を提供・販売・配達する場合には1回用品を使用でき、無償で提供することもできる、という内容です。持ち帰りと配達がここに当たります。

この第1号には、さらに条件が付け足されています。電子商取引または気候エネルギー環境部令で定める無人情報端末機を通じて飲食物を提供・販売・配達するときは、顧客が1回用品の使用可否を選択できるようにしなければならない。つまり、キオスクやアプリで注文すると、使い捨てのカトラリーを付けるかどうかを尋ねる画面が出てくる。あれは店側の親切ではなく、条文に書かれた手順だということです。この部分は2025年10月1日の改正で現在の形になっています。

同じ第2項には、自動販売機を通じて飲食物を販売する場合と、喪礼に参列した弔問客に飲食物を提供する場合(調理施設および洗浄施設が備わっている場所で提供する場合は除く)も並んでいます。

4. 紙の袋は除かれています。コンビニの割りばしにも例外があります

買い物の場面も同じ別表2でつながっています。第4号の大規模店舗の欄は、1回用の袋およびショッピングバッグ1回用の傘用ビニールを対象に挙げ、遵守事項を使用抑制としています。

ここで見落としやすいのが、袋の欄に付いた除外規定です。紙材質の袋およびショッピングバッグは除くと明記されており、さらに生鮮・精肉・野菜など飲食料品の表面に水分がある製品や、冷蔵庫等に保管する製品で常温で水分が発生する製品を入れるための合成樹脂材質の袋も除かれています。紙袋まで一律に止まっているわけではない、ということです。

飲食店・酒場業についても、別表2 第1号のケの欄が袋とショッピングバッグを無償提供禁止とし、やはり紙材質のものは除くとしています。同じ欄にはただし韓国標準産業分類による製菓店業は使用抑制とするというただし書きも付いています。

細かいところでは、別表2の備考にも実務が書かれています。備考1は、つまようじは別途の回収容器を備え、レジや出入口でのみ提供する方法で使用することができるとしています。備考2は、食品接客業の営業申告をしたコンビニエンスストアの事業者が、即席調理食品・冷凍食品などの飲食物を加熱のみして販売する場合には、1回用の割りばしを使用することができるとしています。温めた弁当に割りばしが付いてくる場面が、条文で名指しされているわけです。

買い出し先が大型マートなら、行く日によって店そのものが閉まっている可能性もあります。韓国の大型スーパーの義務休業日は毎月2日で、曜日は地域の条例で決まります

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5. 違反したときの過料は事業者に300万ウォン以下です

この規制が誰に向けられているのかは、罰則の条文が示しています。第41条第2項第3号は、第10条に違反して1回用品を使用しまたは無償で提供した者300万ウォン以下の過料を科すると定めています。

ここで名指しされているのは、第10条第1項の主語である事業者です。旅行者が使い捨てのコップを受け取ったからといって、旅行者側に過料が科されると読める条文にはなっていません。頼めば出してもらえるはずだ、と押し切る場面をつくらないほうがよい理由は、罰が向いている先を見れば分かります。

なお、実際に過料が何件、いくら科されているかは本稿の一次資料には示されていません。条文が用意している上限の額だけをここでは書いています。

6. 荷造りへの落とし込み

ここまでを、スーツケースに入れるかどうかの判断に変換します。

第一に、歯ブラシと歯みがき、かみそり、シャンプーとリンス。別表2 第3号に名指しされている三項目です。客室50室以上の宿に泊まるなら、無償では出てこない前提で用意しておくと、着いた日の夜に探し回らずに済みます。

第二に、買い物用の袋。大規模店舗の欄は使用抑制で、紙材質は除外されています。持参のバッグがあれば、袋のあるなしで動きが止まることはありません。

第三に、持ち帰りと店内で扱いが違うことを覚えておくこと。店内は使用抑制、店外で消費する目的の持ち帰り・配達は例外です。カフェでカップのまま持って出たいなら、注文の時点でその旨を伝えるのが筋の通った頼み方になります。

そして、フロントで尋ねるという選択肢は残っています。条文が禁じているのは無償での提供であって、有償での提供までは止めていません。宿でいくらで扱っているかは一次資料に示されていないため金額は書きませんが、聞くこと自体は制度と矛盾しません。

客室に置かれている物を条文から読み解く話としては、懐中電灯も同じ系統です。韓国のホテルの懐中電灯が備品ではなく法令上の消防設備だという整理

歯ブラシなどの備品とは別に、寝具やタオルの清潔さのほうは、洗濯の頻度まで規則で決められています。シーツと枕カバーは宿泊者1人が使うたびに洗濯と決まっている規則

荷造りに落とす3ステップ 1
歯ブラシと歯みがき・かみそり・シャンプーとリンスを入れる(別表2 第3号)
2
買い物用の袋を1枚入れる(大規模店舗の袋は使用抑制。紙材質は除外)
3
店内は使用抑制、店外で消費する持ち帰り・配達は例外と覚えておく

出典と確認時点
この記事は2026年8月5日時点で、韓国「資源の節約と再活用促進に関する法律」(国家法令情報センターのオープンAPIで取得。https://www.law.go.kr/DRF/lawService.do?OC=test&target=law&type=XML&MST=279795 /公布日2025年11月11日・施行日2026年5月12日)および同「施行規則」別表2〈改正2025年10月1日〉(同API。https://www.law.go.kr/DRF/lawService.do?OC=test&target=law&type=XML&MST=287435 /公布日2026年6月22日・施行日2026年6月22日)の条文を確認して整理した一般的な内容です。生分解性樹脂製品の判定基準、大統領令に委ねられた業種や場合の中身、韓国標準産業分類における各分類の範囲については、本稿では確認していません。宿や店舗ごとの実際の運用や価格は本稿の一次資料には示されていません。法令は改正されることがあります。

要点の確認

  • 法第10条第1項が事業者に求めているのは1回用品の使用抑制無償で提供しないこと。どちらが課されるかは施行規則の別表2が品目ごとに定める
  • 宿泊業が対象になるのは客室が50室以上の場合に限る。浴場業も同じ欄に並ぶ
  • 宿泊業・浴場業の対象品目は1回用かみそり/1回用歯ブラシおよび歯みがき/1回用シャンプーおよびリンスの3項目で、遵守事項は無償提供禁止
  • 食品接客業の欄は使用抑制。コップ・皿・容器・割りばしとつまようじ・スプーンとフォークとナイフ・ビニールテーブルクロス・ストローとマドラーが並ぶ
  • 店外で消費する目的の提供・販売・配達は例外。ただし電子商取引や無人情報端末機での注文では顧客が使用可否を選択できるようにしなければならない
  • 袋とショッピングバッグは紙材質のものが除外されている。大規模店舗では傘用ビニールも対象
  • つまようじは回収容器を備えてレジや出入口でのみ提供する方法で使用でき、コンビニが加熱のみして販売する場合は割りばしを使用できる
  • 違反した事業者への過料は300万ウォン以下。旅行者に科されると読める条文にはなっていない
  • 生分解性樹脂製品の場合は、法第10条第1項ただし書きにより無償で提供することができる

荷物に3項目を足すかどうかを決める。その一手だけで、着いた日の夜にコンビニを探して歩く時間は消えます。

法令や別表は改正されることがあります。条文の内容に変更があり次第、本記事の記述を更新します。

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