新NISAとiDeCo、何が違う?|NISAはいつでも引き出せて、iDeCoは原則60歳まで出せません

「iDeCoは60歳まで引き出せない」と聞いて、急にお金が要るときに困るのではないか——そこが一番引っかかるところだと思います。結論から言うと、その理解でおおむね合っています。iDeCoは障害・死亡などの例外を除き、原則60歳になるまで資産を引き出せません(iDeCo公式サイト)。いっぽう新NISAは、必要になればいつでも売却して現金化できます。
2つは「どちらが得か」を競う制度ではなく、お金を途中で使えるかどうかという設計思想が違う制度です。この記事は特定の商品や投資判断をすすめるものではなく、金融庁のNISA特設サイトとiDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)、厚生労働省の公表内容をもとに、制度としての違いだけを整理します(2026年8月時点)。
💡 この記事の要点
・最大の違いは「いつでも引き出せるか」——NISAは可能、iDeCoは原則60歳まで不可
・NISAの生涯非課税保有限度額は総額1,800万円、年間枠は合計360万円
・2つは併用できます。「どちらか一方」の話ではありません
・iDeCoは2026年12月1日から掛金上限の引き上げと拠出年齢の拡大が施行されます
1. 新NISAの骨格
新NISAは、投資で得た利益にかかる税金が非課税になる制度です。枠組みは次のとおりです(金融庁 NISA特設ウェブサイト)。
- 年間の投資枠:つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円(併用で合計360万円)
- 生涯の非課税保有限度額:総額1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)
- 非課税保有期間:無期限(制度自体も恒久化)
2. iDeCoの骨格
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で拠出した掛金を自分で運用して資産を形成する私的年金の制度です。実施機関は国民年金基金連合会です。
- 加入できるのは原則として20歳以上65歳未満の公的年金の被保険者(一定の条件があります)。国民年金の第1号被保険者は原則60歳未満です
- 掛金は月5,000円から。上限は職業や勤務先の企業年金の有無によって変わります
- 受け取りは原則60歳以降。受給開始年齢は通算加入者等期間などに応じて決まります
税制面では、①掛金が全額所得控除、②運用中の利益が非課税、③受け取り時にも公的年金等控除・退職所得控除の対象——という3段階の優遇があります。ただし「受け取りが全額非課税」という意味ではありません。この点は後述します。
3. 一番の違いは「引き出せるかどうか」
NISAはいつでも売却して現金化できます。教育費や住居費など、人生の途中で使う可能性があるお金にも対応できる柔軟さがあります。なお、売却した分の生涯枠は「取得時の金額」ベースで翌年以降に復活する仕組みで、その年の年間枠がすぐ戻るわけではありません。
iDeCoは原則60歳になるまで引き出せません。iDeCo公式サイトは、老後の資産形成を目的とした年金制度だからこそ税制優遇があり、そのため原則60歳にならないと個人別管理資産を引き出せない、と説明しています。障害給付金・死亡一時金など、限られた例外はあります。
つまり、途中で使う可能性が残るお金はNISA、老後専用と割り切れるお金はiDeCo——という性格の違いがまずあります。
4. iDeCoは2026年12月1日から変わります
iDeCoの掛金上限の引き上げと拠出年齢の拡大は、2026年12月1日施行で決まっています(2025年12月24日公布の政令、令和7年政令第442号)。会社員・公務員は企業年金の掛金と合わせて月62,000円という共通の枠に一元化され、国民年金の第1号被保険者は国民年金基金等と合算で月68,000円から月75,000円になります。同じ日から、要件を満たす方の拠出可能年齢が70歳になるまでに広がります。
ここは誤解が多いところなので、金額の考え方は別記事で詳しく整理しています。
・iDeCoは2026年12月から月6.2万円へ|企業年金がある会社員は「合算で6.2万円」です
5. よくある誤解4つ
①「NISAなら損しない」——NISAは利益への課税を非課税にする“器”であって、元本保障ではありません。しかもNISA口座内の損失は、他の課税口座の利益と損益通算したり、繰越控除したりできません。
②「1,800万円は評価額のこと」——生涯枠は時価ではなく取得価額(簿価)ベースで数えます。値上がりして評価額が1,800万円を超えても、それだけで枠を使い切ったことにはなりません。
③「iDeCoは受け取りも全額非課税」——受け取り時は各種控除の“対象になる”のであって、他の退職金・年金との兼ね合いによっては課税される場合があります。
④「iDeCoは誰でも所得控除で得をする」——iDeCo公式サイトは、課税所得がない方は掛金の所得控除を受けられないこと、所得控除は本人の所得からのみ行われ配偶者の所得からは控除されないこと、そして金融機関ごとに手数料がかかることを注意点として挙げています。運用成績によって受け取る額が変動する点も同様です。
6. 併用はできる?
できます。2つは排他的な制度ではないため、それぞれの加入資格と限度額の範囲内で同時に利用できます。ただしiDeCo側は勤務先の企業年金の状況によって上限が変わるため、自分の枠がいくらになるかは個別に確認が必要です。
⚠️ 注意
この記事は2026年8月時点の公表内容にもとづく制度の説明であり、特定の金融商品への投資をすすめるものではありません。制度・上限額は変更される場合があります。実際の利用にあたっては金融庁のNISA特設ウェブサイトおよびiDeCo公式サイトで現在の内容をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。
整理すると
- NISA=いつでも引き出せる非課税の器、iDeCo=原則60歳まで引き出せない私的年金
- NISAは年間360万円・生涯1,800万円(簿価ベース)、非課税保有期間は無期限
- 2つは併用できます。性格が違うので「どちらか一方」の話ではありません
- iDeCoは2026年12月1日から上限引き上げ・拠出年齢の拡大が施行されます
- 「NISAは損失も守られる」「1,800万円は評価額」「iDeCoは受取全額非課税」「誰でも所得控除で得をする」はいずれも誤解です
制度の性格さえ整理できれば、「自分はどのお金をどちらに置くか」という考え方の土台ができます。
12月1日の施行に合わせて、iDeCoの上限額と対象年齢の運用がどう扱われるかを追記します。厚生労働省・iDeCo公式サイトから続報が出た時点で本記事を更新しますので、秋以降にまたご確認ください。
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