育休の「手取り10割」、80%になるのは最大28日です|夫婦それぞれ14日以上が条件

「育休中も手取り10割もらえるようになった」——この話を聞いて、どうせ条件だらけなのでは、と身構えた方が多いと思います。
実際、方向としては間違っていませんが、ずっと10割ではなく、条件を満たした最大28日間の話です。この記事では厚生労働省「育児休業等給付について」の公表内容にそって、基本の給付と、2025年4月に新設された出生後休業支援給付金の条件を整理します。
💡 この記事の要点
・基本の育児休業給付金は通算180日まで67%、その後50%(非課税)
・2025年4月からの新給付を足して80%になるのは最大28日間です
・条件は本人・配偶者ともに原則14日以上の取得(法定の例外あり)
・「手取り10割」は社会保険料の免除まで含めた「相当」の表現です
1. 基本:育児休業給付金
- 支給額は 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%(通算180日まで)、181日目からは50%
- 原則1歳未満の子が対象。保育所に入れないなどの事由があれば最長2歳まで延長できます
- 給付は非課税で、雇用保険の被保険者が対象です
⚠️ 上限額は毎年8月1日に見直されます
育児休業給付には支給額の上限(月額の上限、賃金日額の上限)が設けられていますが、これらは毎年8月1日に改定されます。厚生労働省は「育児休業等給付の内容と支給申請手続」を年度ごとの改訂版として公開しているため、金額は必ず最新版のパンフレットで確認してください。本記事では年度で変わる金額は掲載していません。
2. 新設:出生後休業支援給付金(2025年4月〜)
「80%」の正体はここです。基本の67%に、この給付の13%が上乗せされます。
- 本人が対象期間中に通算14日以上の育児休業を取得すること
- 配偶者も原則14日以上取得していること
- 支給額:賃金日額 × 対象休業日数(最大28日)× 13%
配偶者の要件には法定の例外があります。配偶者がいない場合、配偶者が雇用労働者でない場合、産後休業中の場合などです。厚生労働省は「配偶者が給付金の対象となる育児休業をすることができないことの申告書」「雇用保険被保険者でないことの証明書」といった様式を用意しており、該当する方はそちらで手続きします。
⚠️ 対象期間は父と母で違います
・父(・養子縁組の親):出生日(または予定日の遅いほう)から8週間以内
・出産した母:産後休業があるため、原則16週間以内の該当期間
「夫婦そろって8週以内に14日ずつ」とだけ覚えると、母親側の判定を誤ります。
3. 「手取り10割」という言い方のからくり
公式の説明は、次の3つを足したうえでの「手取り10割相当」です。
- 67% + 13% = 賃金の80%の給付
- 育児休業中は健康保険・厚生年金の保険料が(要件を満たし申請すれば)免除
- 給付は非課税で、会社からの賃金がなければ雇用保険料の負担もない
つまり「ふだんの手取り(税・社会保険料を引いた後)と比べれば100%相当になり得る」という意味であって、80%を100%に引き上げてくれる制度ではありません。
加えて、次の限界があります。
- 80%になるのは最大28日間だけ。育休の全期間ではありません
- 賃金日額には上限があるため、収入が高い人は「10割相当」に届かないことがあります
- 休業中に会社から賃金が支払われると、給付が減額・不支給になる場合があります
4. 産後パパ育休と通常の育休——分割の設計
- 産後パパ育休(出生時育児休業):出生後8週以内に合計28日まで、2回に分割可(分割する場合は原則まとめて申請します)
- 通常の育児休業:原則1歳まで、父母それぞれ2回に分割可
この2つの「2回」は別枠なので、法定上は「産後パパ育休2回 → 通常育休2回」という組み合わせもできます。夫婦の仕事の状況に合わせた設計の余地は、思っているより広く残されています。
5. 時短勤務にも給付があります(2025年4月〜)
育児時短就業給付金は、2歳未満の子を育てるために時短勤務をする被保険者に対し、原則として時短勤務中に実際に支払われた賃金の10%を支給するものです。
注意したいのは、これが「減った賃金の10%を補填する」ものではないという点です。時短後の賃金が時短前の90%を超える場合は給付率が下がり、時短前以上なら原則支給されません。
6. 受給の基本要件と、2026年8月からの手続き変更
原則として、育休開始日前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上(または就業80時間以上)の月が通算12か月以上必要です。単純な「勤続1年」とは判定が異なります。病気や先行する育休で賃金を受けられない期間が30日以上ある場合は、算定期間が延長されることがあります。
また厚生労働省は、2026年8月1日から育児休業等給付の申請手続きを見直すことを公表しています。パンフレット「育児休業等給付の内容と支給申請手続」も令和8年8月1日改訂版に差し替えられています。給付率(67%・50%・13%・10%)そのものの変更は、本記事の確認時点では公表を確認していません。
⚠️ 出典と確認時点
この記事は2026年8月4日時点で厚生労働省「育児休業等給付について」の公表内容を確認して整理した一般的な内容です。金額に関する数値は年度で改定されるため本文には掲載していません。個別の受給可否・金額は、勤務先の担当部署または育児休業等給付コールセンター(0570-200-406、平日8:30〜17:15)にご確認ください。
要点の確認
- 基本給付は通算180日まで67%・以後50%(非課税)
- 新給付を足した80%は最大28日間。父は出生後8週・母は原則16週の対象期間で、夫婦とも原則14日以上の取得が条件
- 「手取り10割」は社会保険料免除+非課税を含めた「相当」の表現。賃金日額の上限で届かないこともあります
- 時短勤務にも実際に支払われた賃金の10%の給付(減額分の補填ではありません)
- 上限額は毎年8月1日に改定。金額は最新版のパンフレットで確認を
取り方の設計しだいで受け取れる額が変わる制度になりました。出産予定がある方は、夫婦での取得スケジュールを早めに描いておくと選択肢が残ります。
上限額は毎年8月1日に改定されます。次回の改定が公表され次第、本記事を更新します。
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