韓国へ現金1万ドル超を持ち込むなら、入国時に税関へ申告です|出国時の申告を条文が名指ししているのは韓国の「国民である居住者」だけ

韓国へ現金1万ドル超を持ち込むときの税関申告と、出国時の申告義務者の範囲
韓国旅行
入るときは1万ドル超で申告。出るときは条文の書き方が変わります
くらしとお金ラボ

現金をいくらまで持って行けるのか。1万ドルという数字は聞いたことがあるけれど、ちょうど1万ドルはどちら側なのか、帰るときにも同じ手続きが要るのか。ここが宙に浮いたまま出発する方は多いと思います。

韓国の外国為替取引規定を実際に開くと、入りと出で条文の書き方がはっきり分かれています。持ち込みは第6-2条第2項第1号で、居住者または非居住者が米ドル1万ドルを超える支払手段を携帯輸入する場合は管轄税関長に申告。一方、持ち出しの申告を定めた同項第2号が名指ししているのは国民である居住者だけです。日本から旅行で入る立場は非居住者にあたり、この号には入りません。代わりに最近の入国時に携帯輸入した範囲内という別の枠で処理されます。

数字インパクトカード 携帯輸入で税関への申告が必要になるのは米ドル1万ドルを超える場合であることを示すカード 携帯して持ち込むとき、税関への申告が始まる線は 1万ドル 条文は「1万ドル以下は申告不要」「1万ドル超は申告」と書き分けている

1. 持ち込みの線は「1万ドル以下」と「1万ドル超」で切れています

第6-2条は、まず第1項で申告が要らない場合を並べ、そのうえで第2項で申告が必要な場合を書く順番になっています。第1項第1号は米ドル1万ドル以下の支払手段等を輸入する場合を申告不要としています。ただし括弧の外に但し書きがあり、内国通貨とウォン建て旅行者小切手とウォン建て自己宛小切手以外の内国支払手段はこの号から除かれます。

これを受けるのが第2項第1号です。居住者または非居住者が米ドル1万ドルを超える支払手段を携帯輸入する場合は、管轄税関長に申告しなければならないとされています。ここで言う支払手段は、条文が括弧内で対外支払手段と内国通貨、ウォン建て旅行者小切手およびウォン建て自己宛小切手と定義しています。外貨の現金だけでなく、ウォンの現金やウォン建ての小切手類も同じ枠で数えられる、ということです。

読み方の要点は、境目の言葉づかいです。申告不要側は1万ドル以下、申告側は1万ドルを超える。ちょうど1万ドル相当は、条文の文字どおりなら申告不要側に含まれます。ただし「1万ドル相当」を何のレートでいつ換算するかは、この規定の第6-2条からは読み取れませんので、線ぎりぎりの金額を持つ計画は、そもそも組まないほうが揉めません。なおこの号は居住者と非居住者を区別していません。入るときは、誰であっても同じ1本の線です。

2. 申告すると「外国為替申告(確認)必証」が交付されます

申告は、書いて終わりではありません。第6-2条第4項は、申告を受けた管轄税関長または外国為替銀行の長は、支払手段の申告および取得の事実を確認し、当該居住者または非居住者に別紙第6-1号様式の外国為替申告(確認)必証を発行・交付しなければならないと定めています。義務の書き方です。申告した側には、必ず紙が返ってくる仕組みになっています。

この紙が後段でそのまま効いてきます。第6-2条第1項第5号ナ目(2)が非居住者について最近の入国時に携帯輸入した範囲内という枠を置いている以上、その範囲を自分で証明できる状態かどうかで、出るときの立場が変わるからです。

第5項も押さえておく意味があります。外国為替申告(確認)必証を発行・交付した税関長は、毎月、翌月10日以内にその申告事実を国税庁長に通報しなければならない。申告は税関の中で完結せず、税務当局へ流れる建て付けです。

条文が分けている四つの場面
第1項第1号
1万ドル以下を輸入するとき、申告は不要
第2項第1号
1万ドル超を携帯輸入するとき、管轄税関長へ申告
第2項第2号
携帯輸出の申告義務者は「国民である居住者」
第1項第5号ナ目(2)
非居住者は「最近の入国時に携帯輸入した範囲内」

3. 出るときの条文は、義務を負う人を絞って書いています

ここが通説とずれるところです。第6-2条第2項第2号は、こう書かれています。国民である居住者が米ドル1万ドルを超える支払手段を携帯輸出する場合には、管轄税関長に申告しなければならない。第1号が居住者または非居住者と広く書いていたのに対し、第2号は主語が絞られています。

つまり、出るときの1万ドル超の申告義務を条文が正面から課しているのは、韓国の国民である居住者です。日本から旅行で訪れる立場はこれに当たりません。入るときと出るときで、条文は同じ数字を同じようには使っていない、ということです。

では旅行者は何の枠もなく持ち出せるのかというと、そうではありません。第1項第3号は米ドル1万ドル以下の支払手段を輸出する場合を申告不要としており、ここは誰でも同じです。そして第5号ナ目(2)が、非居住者について最近の入国時に携帯輸入した範囲内、または国内で認められた取引によって取得した対外支払手段を輸出する場合を申告不要としています。同じ第5号のラ目(2)には、非居住者が入国時に携帯輸入し、または国内で買い入れたウォン建て旅行者小切手を輸出する場合も置かれています。

そして第6-3条第1項が受け皿です。第6-2条の規定を除いて、居住者または非居住者が支払手段等を輸出入しようとする場合には管轄税関長に申告しなければならない。申告不要リストからも申告義務リストからも外れる持ち出しは、この一般規定に落ちます。

使える形に直すと、旅行者が申告なしで持ち出せるのは、1万ドル以下か、あるいは入るときに持ち込んだ範囲内。入国時に1万ドル超を申告して必証を受け取っておく意味は、この枠を紙で示せる点にあります。

4. 残ったウォンを戻すときは「売却実績の範囲内」という枠がかかります

三つ目の心配、余ったウォンの扱いに移ります。両替所での再両替について、第2-29条第3項が正面から書いています。両替業者は、次の各号の一に該当する場合に限り再両替することができるとし、第1号が非居住者が最近の入国日以後、当該滞在期間中に外国為替業務取扱機関または両替業者へ内国支払手段を対価に対外支払手段を売却した実績の範囲内で再両替する場合です。

現地でウォンに替えた分が、そのまま戻せる枠になる設計です。第4項は手続きも書いていて、両替業者は非居住者から再両替の申請を受けたとき別紙第3-6号様式の再両替申請書、別紙第3-5号様式の外国為替買入証明書および旅券の提出を受けなければならないとされています。

その買入証明書の出どころが第2項第3号です。両替業者が外国人居住者または非居住者から外貨等を買い入れる場合、1回に限り買入証明書を発行・交付しなければならない、と書かれています。両替のたびに何枚でも出るものではありません。

銀行側にも似た枠があります。第2-3条第1項第2号ガ目が、非居住者への外貨売却を最近の入国日以後、当該滞在期間中に売却した実績の範囲内としています。そしてラ目に例外があり、そうした売却実績等が無い非居住者の場合は米ドル1万ドル以内とされています。実績がゼロでも一定額までの道は用意されている、という条文です。

この場合の記録の残り方も条文にあります。第2-3条第2項は、ラ目により外貨を売却したときは当該取引者の旅券に売却金額を表示しなければならないと定め、ただし100万ウォン以下に相当する外貨を売却する場合はこの限りでない、としています。

この再両替を窓口で担う業者がどんな登録を受けた事業者なのかは、別の記事で条文から追っています。明洞の私設両替所は関税庁に登録した「両替営業者」という区分

5. 書類が省ける小口の線と、記録が残る大口の線

第2-29条には、金額によって手続きの重さが変わる規定が置かれています。まず軽いほうです。第5項は、両替業者は同一日・同一人基準で米ドル2千ドル以下(両替帳簿を電算管理する業者は4千ドル)の外貨等については、外国為替売却申請書および外国為替買入証明書なしに買い入れまたは売却することができる、としています。少額なら書類の往復が省かれる設計です。

重いほうも同じ条にあります。第2項第2号は、両替業者が外貨等を買い入れる際、その取得が申告等の対象かどうかを確認する義務を同一日・同一人基準で米ドル2万ドルを超える場合に限るとしています。そして第7項は、両替帳簿や外国為替買入証明書などの関係書類を当該年度以後5年間保管するよう求めています。窓口で受け取る紙は、業者側にも5年残る記録の片割れだということです。

申告を怠った場合にどのような制裁があるかは、外国為替取引法の本体と施行令の事項であり、本稿では条文を確認していません。ここで書けるのは、申告の要否を分ける線と、記録がどこへ流れるかまでです。

6. 現金の量を決めるときの考え方

1万ドル相当を超える現金を持ち込む予定があるなら、入国時に税関で申告し、外国為替申告(確認)必証を受け取っておく。第6-2条第4項は交付を義務として書いているので、申告すれば紙は出ます。この一枚が、出るときの最近の入国時に携帯輸入した範囲内という枠を裏づけます。

1万ドル相当に届かない額で組むなら、入りも出も第1項の申告不要側に収まります。ほとんどの旅行はこちらでしょう。現地でウォンに替える分は再両替の枠に直結するので、証明書の出る条件を意識して両替の回数を絞っておくと、帰りの選択肢が広く残ります。支払いの中心をカードに寄せておけば、そもそも1万ドルという線に近づく理由がなくなります。

現金の持ち方を決める3ステップ 1
1万ドル相当を超えるなら入国時に申告し、必証を受け取る(交付は第6-2条第4項の義務)
2
両替の回数を絞る(買入証明書の交付は1回に限ると条文にある)
3
線ぎりぎりの額を持たない(換算の基準日は本規定の第6-2条からは読み取れない)

出典と確認時点
この記事は2026年8月5日時点で、韓国「外国為替取引規定」(国家法令情報センターの行政規則オープンAPIで取得。https://www.law.go.kr/DRF/lawService.do?OC=test&target=admrul&ID=2100000281984&type=XML /企画財政部告示第2026-88号、発令日2026年7月2日・施行日2026年7月6日・現行)の条文を確認して整理した一般的な内容です。申告を怠った場合の制裁、韓国関税庁の窓口運用、「1万ドル相当」の換算基準、および日本側の携帯輸出入の届出については、本稿では確認していません。規定は改正されることがあります。

要点の確認

  • 携帯輸入は米ドル1万ドル以下なら申告不要(第6-2条第1項第1号)、1万ドルを超えると管轄税関長へ申告(同条第2項第1号)
  • 数える対象は対外支払手段・内国通貨・ウォン建て旅行者小切手・ウォン建て自己宛小切手
  • 携帯輸出の申告義務を条文が課しているのは国民である居住者(同条第2項第2号)で、日本からの旅行者はここに入らない
  • 非居住者の持ち出しは1万ドル以下最近の入国時に携帯輸入した範囲内が申告不要(同条第1項第3号・第5号ナ目(2))。外れる場合は第6-3条第1項の申告へ
  • 申告すると外国為替申告(確認)必証が交付され(同条第4項)、税関長は翌月10日以内に国税庁長へ通報する(同条第5項)
  • 両替業者の再両替は最近の入国日以後の売却実績の範囲内(第2-29条第3項第1号)。買入証明書の交付は1回に限る(同条第2項第3号)
  • 銀行の非居住者への売却も売却実績の範囲内で、実績等が無い非居住者は米ドル1万ドル以内(第2-3条第1項第2号)

入るときに1枚出しておく。それだけで、出るときに使える枠を紙で示せる状態になります。

規定は改正されることがあります。条文の内容に変更があり次第、本記事の記述を更新します。

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出発前に、持って行く現金の額を1万ドルの線と照らすところから。
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