明洞の両替所と銀行は、法令上は別の業者です|私設両替所は関税庁に登録した「両替営業者」で、余ったウォンを円に戻せる相手は条文で限られています

明洞の私設両替所と銀行は法令上は別の業者です
韓国
違うのはレートより先に、条文で許された業務の範囲です
くらしとお金ラボ

明洞を歩くと、小さな窓口に電光掲示のレートを出した店が並んでいます。銀行の支店もすぐ近くにあります。同じ「両替」の看板でも、この2つは韓国の法令上、別々の枠組みで扱われています。

根拠は外国為替取引法です。第8条第2項は外国為替業務は金融会社等だけが行うことができると定めています。銀行はここに入ります。

では路地の両替所は何かというと、同じ第8条の第3項に置かれています。金融会社等でない者が「外国通貨の買入れまたは売渡し、外国で発行された旅行小切手の買入れ」を業として行おうとする場合の、別枠の登録制度です。この登録をした業者が、規程でいう両替営業者です。

枠が別なので、できることも別です。とくに効いてくるのは、ウォンを外貨に戻す側です。規程は、両替営業者が再両替できる場合を条文で限定しています。

両替営業者の登録先を示すカード 私設両替所は関税庁に登録した両替営業者であり、無登録営業は3年以下の懲役または3億ウォン以下の罰金であることを示すカード 私設両替所を登録・監督しているのは 銀行監督ではなく、関税庁 無登録の営業は3年以下の懲役または3億ウォン以下の罰金

1. 銀行と両替所は、条文の入口が違います

外国為替取引法第8条は、3つの層に分かれています。

第1項は外国為替業務を業として行おうとする者の登録です。資本・施設・専門人材を備えて、あらかじめ登録することを求めています。ここで登録した金融会社等が、法文で外国為替業務取扱機関と呼ばれる存在です。

第2項は範囲を絞る条文で、外国為替業務は金融会社等だけが行うことができるとしています。ここまでが銀行の側です。

第3項が両替所の側です。第1項・第2項にかかわらず、金融会社等でない者が次の業務を業として行おうとする場合は、要件を備えてあらかじめ登録しなければならない、として号を並べています。第1号が外国通貨の買入れまたは売渡し、外国で発行された旅行小切手の買入れ。この第1号の登録をした者を、施行令は両替業務の登録者と呼び、規程は両替営業者と呼びます。

つまり、同じ通りに並んでいても、根拠となる項が違います。銀行は第1項・第2項、両替所は第3項第1号です。

2. 登録を受け付けているのは関税庁です

ここが実務上いちばん意外に映る点かもしれません。両替営業者の登録は、金融当局ではなく関税庁が扱っています。

施行令第37条第1項は、大臣の権限のうち第8条第3項第1号による両替業務の登録と、登録事項の変更および廃止の申告を関税庁長に委任すると定めています。

規程の側も同じです。第2-28条第1項は、登録申請書を関税庁長に提出することとし、営もうとする方式を一般/無人両替機/オンラインの3つから選ぶ(複数選択可)としています。同条第4項では、関税庁長が登録要件の維持を確認するため、証憑書類の提示などを求めることができるとされています。

登録の要件そのものは施行令第15条にあります。申請書に書くのは名称・営業所の所在地・両替業務の取扱範囲・役員に関する事項(法人の場合)。備えるべきものは両替業務に必要な営業場と、両替業務および事後管理を円滑に行うための電算設備の2つです。

登録している業者の一覧は、関税庁の掲示板で「月末基準の両替営業者登録現況」として定期的に公表されています。個別の店舗については本稿では触れませんが、制度としては名簿が公表される仕組みになっている、ということです。

条文でたどると、こう分かれます
項目
銀行
私設両替所
根拠となる項
第8条第1項・第2項
第8条第3項第1号
登録の受付
主務大臣
関税庁長(委任)
できる業務
預金・送金を含む
現金等の売買のみ
記録の義務
金融機関の体系
両替帳簿を半期ごと提出

3. 両替営業者にできるのは「売買」までです

規程第2-29条第2項は、両替営業者ができることをこう書いています。居住者または非居住者から、内国支払手段を対価として外国通貨および旅行小切手を買い入れることができる

裏返すと、ここに書かれていない業務はできません。送金も、口座も、預金も、両替営業者の業務ではありません。窓口の見た目が銀行に似ていても、扱える取引はこの一行の範囲です。

買い入れるときの手続きも決まっています。同項第1号は、外国為替売却申請書の提出を受け、住民登録証、旅券、事業者登録証、納税番号証などの実名確認証票によって人的事項を確認しなければならないとしています。旅券の提示を求められるのは、店の方針ではなく条文があるからです。

金額が大きい場合の扱いも書かれています。同項第2号は、同一日・同一人基準で2万米ドルを超える場合に限り申告等の対象かどうかを確認し、申請書の写しを翌月10日以内に国税庁長および関税庁長へ通報するとしています。

そして第3号。外国人居住者または非居住者から買い入れる場合には、1回に限り外国為替買入証明書を発行・交付しなければならない。旅行者はここに当たります。この紙が、次の節で効いてきます。

4. 「ウォンを戻す」ほうには、条文の制限があります

帰国前に余ったウォンをどうするか。ここが本稿でいちばん実務に効く部分です。

規程第2-29条第3項は、両替営業者が再両替できる場合を限定しています。挙げられているのは2つだけです。

1つ目は、非居住者が最近の入国日以後、当該滞在期間中に、外国為替業務取扱機関または両替営業者に対して内国支払手段を対価として対外支払手段を売却した実績の範囲内で再両替する場合。つまり「今回の滞在中に、そこで両替した実績のぶんだけ戻せる」という構造です。

2つ目は、非居住者および外国人居住者が、当該両替営業者のカジノで獲得した金額または未使用の金額について再両替する場合です。

ここから読み取れることは1つです。ウォンを外貨に戻す取引は、買い入れとは別のルールで動いている。前の節の外国為替買入証明書が「実績」を示す書類にあたるので、両替したときに受け取った紙は、帰るまで捨てないほうがよいということになります。

ただし例外もあります。第5項は、同一日・同一人基準で2千米ドル以下(両替帳簿を電算管理している業者の場合は4千米ドル以下)であれば、外国為替売却申請書と外国為替買入証明書なしで買い入れ・売渡しができるとしています。少額のやり取りが窓口で完結するのは、この項があるためです。

無人両替機の業者についても、第8項が同じ2千米ドル(電算管理業者は4千米ドル)の範囲を置いています。

窓口でやることは3つ 1
旅券を出す(実名確認証票による人的事項の確認が条文上の義務)
2
外国為替買入証明書を受け取る(非居住者には1回に限り交付)
3
帰国日まで保管する(再両替は滞在中の売却実績の範囲内という条文がある)

余ったウォンを現金のまま買い物で使い切るなら、化粧品は日本と韓国で配合の上限が違う成分がある点も見てから選べます。韓国で買った日焼け止めが日本で見つからない理由(配合の上限が国ごとに違う)

5. 記録は残ります

両替営業者は、取引を記録して当局に出す立場にあります。

規程第2-29条第1項は、両替日、売却者(買入者)の氏名および住民登録番号・旅券番号などの人的事項、両替金額、適用為替レート、取引内容を両替帳簿に記録し、半期ごとに翌月10日までに帳簿の写しを関税庁長に提出することを求めています。

第7項は保管期間です。両替帳簿、外国為替売却申請書、外国為替買入証明書などの両替関係書類を、当該年度以後5年間保管しなければならないとされています。

取引銀行についても定めがあります。第6項は、外国通貨等を銀行へ売却・預置する取引などのために取引外国為替銀行を指定することを求め、第11項は、その指定銀行の長が両替営業者との取引内訳を取引した日の翌営業日までに韓国銀行総裁へ報告することとしています。

オンラインの両替営業者には、さらに条件が付いています。第9項第4号は、顧客が外国通貨等を受け取るまでの決済代金について、第三者に預置するか、管轄税関長に1億ウォン以上の履行保証金を現金で預託することを挙げています。

路地の窓口の話に見えて、記録は関税庁と韓国銀行へ流れる設計になっている、ということです。

6. 無登録の営業に対する罰則

第8条第3項の登録をせずに外国為替業務を行った場合の罰則は、第27条の2第1項第1号に置かれています。

条文はこうです。3年以下の懲役または3億ウォン以下の罰金に処する。ただし、違反行為の目的物の価額の3倍が3億ウォンを超える場合には、その罰金を目的物の価額の3倍以下とする。同条第2項では、懲役と罰金は併科することができるとされています。

登録制度に実効性を持たせている条文がここです。旅行者の側から見れば、「登録している業者かどうか」は制度上区別される事柄であり、関税庁が公表している登録現況で確かめられる、ということになります。

7. 銀行を選ぶか、両替所を選ぶか

本稿では、どちらがレートで有利かという結論は書きません。レートは店ごとに、また日ごとに動くもので、比較できる公式の統計を持っていないためです。

条文から言えるのは、次の3点です。

ひとつ、扱える取引の幅が違う。両替営業者は現金と旅行小切手の売買までで、送金や口座は業務範囲に入っていません。

ふたつ、戻す側にだけ条文の制限がある。再両替が認められる場合は第2-29条第3項の2つに限られ、少額の例外は第5項の金額の範囲です。

みっつ、書類が意味を持つ。買入証明書は非居住者に1回に限り交付されるもので、これが滞在中の実績を示します。

現金をいくら持っていくか、カードとどう配分するかという全体の組み立ては、別記事で扱っています。持ち込む現金の額が大きい場合は、税関申告の基準も別にあります。

出典と確認時点
この記事は2026年8月16日時点で、韓国の国家法令情報センターにおいて外国為替取引法(施行2026年1月2日)の第8条・第27条の2、同施行令(施行2026年4月28日)の第15条・第37条、外国為替取引規程(施行2026年7月6日)の第2-28条・第2-29条の原文を取得し、日本語に整理した一般的な内容です。個別の両替所の登録の有無、店名、レートの水準、銀行との具体的な差額については、本稿では確認していません。また、両替営業者の条文は規程第2-28条・第2-29条であり、第2-30条以降は別の業種(少額海外送金業者)の条文です。法令および規程は改正されます。実際の取扱いは、韓国の関税庁および所管官庁の公式案内でご確認ください。

両替の窓口と同じく、食堂の壁の産地表示も、法令が枠を決めている場面です。韓国の食堂の産地表示は法律上の義務で、偽れば7年以下の懲役か1億ウォン以下の罰金

要点の確認

  • 銀行は外国為替取引法第8条第1項・第2項、私設両替所は同条第3項第1号が根拠
  • 両替営業者の登録を受け付けるのは関税庁長(施行令第37条第1項の委任)
  • 登録の方式は一般/無人両替機/オンラインの3つから選ぶ
  • できるのは内国支払手段を対価とした外国通貨・旅行小切手の買入れまで
  • 買入れ時は実名確認証票で人的事項を確認。非居住者には1回に限り買入証明書を交付
  • 再両替できるのは滞在中の売却実績の範囲内当該業者のカジノ分の2つ
  • 2千米ドル以下(電算管理業者は4千米ドル以下)なら申請書・証明書なしで取引できる
  • 両替帳簿は半期ごとに翌月10日まで関税庁長へ提出、関係書類は5年間保管
  • 無登録営業は3年以下の懲役または3億ウォン以下の罰金(目的物価額の3倍が上回る場合はその3倍以下)

両替したときに渡される紙を、帰る日まで持っておく。条文から出てくる実務は、まずそこです。

外国為替取引法と規程は改正されます。登録の所管、金額の基準、再両替の条件に変更が確認でき次第、本記事も見直します。

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両替の窓口で受け取った紙を、帰国日まで残しておくところから。
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