国民年金に月400円足すと、受け取りは「200円×納めた月数」が一生上乗せされます|2年受け取れば納めた分に届く計算、ただし免除中の人と国民年金基金の加入員は入れません

国民年金だけだと将来の額が心細い。かといって、毎月まとまった額を積む余裕はない。そう思っている方がまず引っかかるのは、月400円という額でいくら返ってくるのか、という一点だと思います。
日本年金機構の説明は短いです。付加年金額(年額)は、200円×付加保険料を納付した月数で計算し、2年以上受け取ると、納付した付加保険料以上の年金を受け取れます。国民年金法第44条も、付加年金の額は二百円に…保険料納付済期間の月数を乗じて得た額と定めています。1年納めれば年2,400円が、受け取り始めてから亡くなるまで毎年上乗せされる形です。
1. 400円を納めて、200円が毎年戻る
数字の並びだけ見ると、半分しか返ってこないように読めます。ここが読み違えられるところです。
400円は1回きり、その月に納める額です。200円は受け取り始めてから、毎年ずっと加算される額です。1年分(12か月)を納めると、納めた額は400円×12か月で4,800円。上乗せされる付加年金は200円×12か月で年2,400円。この2,400円が毎年続くので、2年受け取れば納めた4,800円に届きます。
日本年金機構が2年以上受け取ると、納付した付加保険料以上の年金を受け取れますと書いているのは、この関係のことです。
同じページには、40年間納めた場合の例も置かれています。200円×480月(40年)=96,000円(年額)が付加年金額として老齢基礎年金に上乗せされます。老齢基礎年金の側の額と足した例として、847,300円+96,000円=943,300円(年額)という計算も示されています。この847,300円は、毎月の定額保険料(令和8年度:17,920円)を40年間納めた場合の老齢基礎年金額で、昭和31年4月2日以後生まれの方が受け取る場合の年金額とされています。
2. 入れる人は、国民年金を自分で納めている人だけです
三つ目の心配、自分は入れるのかという点です。対象は絞られています。
日本年金機構は国民年金第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者を挙げています。条文でも第87条の2第1項が第一号被保険者…は、厚生労働大臣に申し出て…四百円の保険料を納付する者となることができるとしています。
会社員や公務員(第2号被保険者)、その扶養に入っている配偶者(第3号被保険者)は、この制度の外です。自営業、フリーランス、学生、無職の期間など、国民年金の保険料を自分で納めている立場の人のための仕組みだと考えてください。
逆向きの義務もあります。農業者年金の被保険者は、付加保険料を納付しなければなりませんとされています。
3. 納めていても入れない人がいます
第1号被保険者であっても、次に当てはまる人は付加保険料を納められません。日本年金機構の注意事項がそのまま線引きです。
- 国民年金保険料の納付を免除されている方(法定免除、全額免除、一部免除、納付猶予、または学生納付特例)
- 国民年金基金の加入員である方
ただし例外が一つ書き添えられています。産前産後免除の場合は、付加年金に加入(付加保険料を納付)することができます。同じ「免除」でも、産前産後の免除だけは扱いが違うということです。
条文の側でも第87条の2第1項が、免除を受けている者と国民年金基金の加入員を括弧書きで除いています。そして第87条の2第4項は、第一項の規定により保険料を納付する者となつたものが、国民年金基金の加入員となつたときは、その加入員となつた日に、前項の申出をしたものとみなすとしています。あとから国民年金基金に入ると、やめる申出をしたものとして扱われる、という意味です。
個人型確定拠出年金との関係は別です。日本年金機構は個人型確定拠出年金と付加年金は同時に加入することができますとしたうえで、個人型確定拠出年金の拠出額によっては、付加保険料と併用できない場合がありますと注意を促し、限度額は運営管理機関にご確認くださいとしています。
4. さかのぼって加入することはできません
この制度で取り返しがつかないのは、時間の部分です。
日本年金機構はリードでこう書いています。付加保険料の納付は申出月からの開始となります。条文でも第87条の2第1項がその申出をした日の属する月以後の各月につきと限定しています。去年の分を一括で納めて月数を稼ぐ、という使い方はできません。
納付期限は納付対象月の翌月末日で、月の末日が土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月31日、1月2日および1月3日)に当たるときは、翌月最初の金融機関等の営業日が期限になります。ただし救いもあって、納付期限を経過した場合でも、納付期限から2年間は付加保険料を納付することができますとされています。
もう一つ、条文に条件があります。第87条の2第2項は、付加保険料の納付は前条第三項に定める額の保険料の納付が行われた月などについてのみ行うことができるとしています。土台である定額保険料を納めた月にしか、上乗せは乗らないということです。
5. 手続きは届書1枚、やめるときも同じ紙です
始めるときは、付加保険料納付申出を出します。日本年金機構は国民年金被保険者関係届書(申出書)により手続きしてくださいとし、提出先を市(区)役所、町村役場、お近くの年金事務所としています。電子申請の案内も置かれています。農業者年金に加入したときは付加保険料該当届になります。
やめるときも同じ届書です。効き始める時期に注意が要ります。申出を行った月の前月から、付加保険料を納付する方でなくなります。始めるときが「申出月から」であるのに対し、やめるときは「申出月の前月から」です。条文の第87条の2第3項も、いつでも、厚生労働大臣に申し出て、その申出をした日の属する月の前月以後の各月に係る保険料…につき…納付する者でなくなることができるとしています。
前納の扱いも記載があります。付加保険料を前納する場合、前納する期間によって割引を受けられます。割引額そのものは別のページに委ねられているため、金額は確かめてから判断してください。
6. 受け取れるのは、老齢基礎年金を受け取るときです
付加年金は単独で出てくるものではありません。国民年金法第43条は付加年金は、第八十七条の二第一項の規定による保険料に係る保険料納付済期間を有する者が老齢基礎年金の受給権を取得したときに、その者に支給するとしています。老齢基礎年金に付いてくる形です。
繰下げについても条文があります。第46条第1項は、繰下げの申出をしたときの付加年金の支給は当該申出のあつた日の属する月の翌月から始めるものとするとし、第2項が額の計算について第44条を読み替えて準用する仕組みを置いています。老齢基礎年金を後ろにずらせば、付加年金も同じ時期から始まるということです。
なお、国民年金基金や国民年金基金連合会が解散した場合の扱いは第45条に別途置かれており、解散した月の翌月から、当該付加年金の額を改定するとされています。
出典と確認時点
この記事は2026年8月5日時点で、日本年金機構「付加保険料の納付」(更新日2026年7月23日/https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/fukanofu.html )と、日本の「国民年金法」(昭和三十四年法律第百四十一号)の条文をデジタル庁のe-Gov法令API v2(取得した版の改正公布日は2024年6月14日)で取得して整理した一般的な内容です。前納の割引額、繰下げによる増額率、個人型確定拠出年金の拠出限度額については、本稿では確認していません。手続きにあたっては、お住まいの市区町村または年金事務所にご確認ください。法令および公表内容は改正・更新されることがあります。
要点の確認
- 納める額は1カ月あたり400円、定額保険料への上乗せ(国民年金法第87条の2第1項)
- 受け取る額は200円×付加保険料を納付した月数(年額・第44条)。2年以上受け取ると、納付した付加保険料以上になる(日本年金機構)
- 入れるのは国民年金第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者。会社員・公務員とその被扶養配偶者は対象外
- 免除を受けている方と国民年金基金の加入員は納付できない。ただし産前産後免除は納付できる
- 個人型確定拠出年金とは同時加入できるが、拠出額によっては併用できない場合があるため運営管理機関に確認
- 納付は申出月からで、さかのぼれない。納付期限は翌月末日、そこから2年間は納付できる
- やめる申出は申出を行った月の前月から効く。国民年金基金に加入すると、その日にやめる申出をしたものとみなされる(第87条の2第4項)
- 受け取りは老齢基礎年金の受給権を取得したときから(第43条)。繰下げをすれば付加年金も申出のあった日の属する月の翌月から(第46条)
月400円は、外食1回よりも小さい額です。それでも、さかのぼれない以上、月数は今日からしか積めません。
付加保険料の額と付加年金の計算式は法律で定められています。改正があった場合には、本記事の記述も見直します。
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