予約サイトで見かける「レジデンス」は、韓国の法令ではホテル業ではありません|分かれ目は台所で、炊事施設があると「宿泊業(生活)」、星の等級制度の対象からも外れます

ソウルの宿を探していると、ホテルに混じって「レジデンス」「サービスレジデンス」と書かれた宿が出てきます。部屋は広めで、写真には台所が写っている。値段もホテルと同じくらいか、少し安い。
ここで「ホテルの言い換えだろう」と読むと、少しずれます。韓国の法令では、この2つは別の法律にもとづく別の業種です。
分かれ目は驚くほど単純で、炊事施設があるかどうかです。公衆衛生管理法の施行令が、宿泊業を「炊事施設を除く」ものと「炊事施設を含む」ものに分けています。台所の有無が、そのまま法令上の区分になっています。
そして、この区分の違いは星の等級が付くかどうかにもつながります。等級決定を申請する義務を負う業種は観光振興法の施行令に列挙されていますが、そこに宿泊業(生活)は入っていません。
1. 韓国では宿泊の営業が2つの系統に分かれています
まず全体の形から見ます。韓国で人を泊める営業には、大きく2つの根拠法があります。
ひとつは公衆衛生管理法。この法律は「公衆衛生営業」として宿泊業・浴場業・理容業・美容業・洗濯業・建物衛生管理業の6つを挙げ、宿泊業を「客が寝て泊まれるよう施設および設備等のサービスを提供する営業」と定義しています。この系統は届出で、市長・郡守・区庁長に対して行います。
もうひとつは観光振興法。こちらは観光宿泊業として、ホテル業を7種類に分けています。観光ホテル業、水上観光ホテル業、韓国伝統ホテル業、家族ホテル業、ホステル業、小型ホテル業、医療観光ホテル業です。この系統は登録です。
2つの系統が別であることは、条文の中にも現れています。公衆衛生管理法第9条第6項は、立入検査をするときに観光振興法で登録した観光宿泊業については所管の行政機関と事前に協議しなければならない、と定めています。同じ「泊まる場所」でも、監督の入り口が違うということです。
2. 台所があると「宿泊業(生活)」になります
公衆衛生管理法は第2条第2項で、宿泊業を細分できると定め、それを受けた施行令第4条が実際に2つに分けています。
宿泊業(一般)は「客が寝て泊まれるよう施設(炊事施設は除く)および設備等のサービスを提供する営業」。宿泊業(生活)は「客が寝て泊まれるよう施設(炊事施設を含む)および設備等のサービスを提供する営業」。条文の違いは、括弧の中のこの一行だけです。
予約サイトで「レジデンス」と呼ばれている宿の多くが、部屋に台所を備えています。写真にコンロや流し台、電子レンジが写っているのは、この区分に対応する設備だからです。
なお、法令上の区分と、サイトに表示される呼び名は別のものです。各社が何を根拠に「レジデンス」と書いているかは公開されていません。ここで確認できるのは「韓国の法令には、台所の有無で分かれる区分が実在する」という点までです。
3. 星が付かないのは、評価が低いからではありません
ここが予約のときにいちばん効いてくる点です。
韓国のホテルの星は、観光振興法にもとづく等級決定です。そして施行令第22条第1項が、等級決定を申請しなければならない業種を名指しで挙げています。観光ホテル業、水上観光ホテル業、韓国伝統ホテル業、家族ホテル業、小型ホテル業、医療観光ホテル業の6つです。
この列挙に、公衆衛生管理法の宿泊業(生活)は入っていません。そもそも別の法律の業種だからです。ついでに言えば、観光振興法のホテル業7種のうちホステル業も、この6つの列挙から外れています。
したがって「星が付いていない」という事実から読み取れるのは、評価が低かったということではなく、等級決定の枠にそもそも入っていない可能性があるということです。星の有無で品質を比べようとしても、比較の土俵が違います。
等級は5星級から1星級までの5区分で、決定の手続や有効期間には別の条文があります。その部分は別の記事で扱っています。
4. 民泊や韓屋ステイは、さらに別の枠です
ついでに整理しておくと、公衆衛生管理法の施行令第2条第1項は、宿泊業から除かれる施設を4つ挙げています。
農漁村整備法による農漁村民泊事業用の施設、山林文化・休養に関する法律により自然休養林の中に設置された施設、青少年活動振興法による青少年修練施設、そして観光振興法により登録した外国人観光都市民泊業用の施設および韓屋体験業用の施設です。
つまり「民泊」「韓屋ステイ」として紹介されている宿は、宿泊業の届出とは別の根拠で営業しています。ホテルと同じ枠で比べようとすると、ここでもかみ合いません。
宿泊業から除かれるこれらの業種がそれぞれどんな設備と規模で登録されるのかは、条文の登録基準に書かれています。ホステル業・韓屋体験業・外国人観光都市民泊業の登録基準(延べ面積230平方メートル未満など)の整理
5. 予約前に見るのは1か所です
ここまでの話を、予約画面でできる行動に落とします。
見るのは部屋の設備欄に台所があるかどうかです。台所があれば、法令の区分では宿泊業(生活)にあたる可能性が高い。ということは、観光振興法の等級決定の対象として列挙された業種ではない可能性が高い、と見当がつきます。
そのうえで、星の表示があるなら、それが観光振興法にもとづく等級なのかを疑ってみる。等級決定の結果は四半期ごとに公表される仕組みになっているので、公表されているものと突き合わせられます。
台所つきの部屋が悪いという話ではありません。長めの滞在や、自炊したい旅程では台所が効きます。選ぶ理由が「星が付いているから」なのであれば、その星が制度上のものかを確かめてから決める、というだけの話です。
出典と確認時点
この記事は2026年8月16日時点で、韓国の国家法令情報センターが公開している「公衆衛生管理法」(施行日2025年7月31日)、「公衆衛生管理法 施行令」(施行日2026年1月1日)、「観光振興法」(施行日2026年5月12日)、「観光振興法 施行令」(施行日2026年8月4日)の条文を取得して整理した一般的な内容です。建築法の用途分類、各予約サイトが「レジデンス」という表記を付ける基準、施設ごとの設備や運用、料金については本稿では確認していません。個別の宿がどの区分にあたるかは施設ごとに異なり、本稿から断定することはできません。法令は改正されることがあります。実際の予約条件は各予約サイトおよび宿泊施設の公式案内でご確認ください。
要点の確認
- 韓国の宿泊の営業は、公衆衛生管理法(届出)と観光振興法(登録)の2系統に分かれる
- 公衆衛生管理法 施行令 第4条は宿泊業を(一般)=炊事施設を除く/(生活)=炊事施設を含むに細分している
- 観光振興法のホテル業は7種類、等級は5星級から1星級までの5区分
- 等級決定の申請義務を負うのは施行令第22条が名指しする6種。ホステル業は列挙されていない
- したがって星がないことは、評価が低いことを意味しない
- 農漁村民泊・自然休養林の施設・青少年修練施設・外国人観光都市民泊業・韓屋体験業は宿泊業から除かれる
- 予約画面で見るのは設備欄の台所ひとつ
設備欄をひとつ見る。その宿がどの枠にいるかは、そこから追えます。
法令は改正されます。条文や区分に変更が確認でき次第、本記事も見直します。
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