65歳以上で辞めると、失業手当ではなく一時金です|被保険者期間1年以上で50日分、失業認定は1回きり

65歳以上で離職した場合の高年齢求職者給付金は50日分または30日分
働くとお金
65歳以上で辞めると、出るのは一時金。1年以上で50日分
くらしとお金ラボ

65歳を過ぎて働いていた人が辞めるとき、真っ先に不安になるのは「もう失業手当は出ないのではないか」というところだと思います。

出ます。ただし名前も形も変わります。ハローワークインターネットサービスの説明では、高年齢被保険者が失業した場合、一般の被保険者の場合と異なり、被保険者であった期間に応じ基本手当日額の30日分又は50日分に相当する高年齢求職者給付が支給されるとされています。被保険者であった期間が1年以上なら50日分、1年未満なら30日分。そして失業認定は1回限りで、月ごとに通い続ける仕組みではありません。

数字インパクトカード 高年齢求職者給付金が被保険者であった期間1年以上で50日分であることを示すカード 被保険者であった期間が1年以上のときの支給日数 50 単位は日分。1年未満なら30日分

1. 65歳以上の被保険者は、区分そのものが違います

まず用語の整理からです。公表されている定義では、高年齢被保険者とは、65歳以上の被保険者であって、短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者とならない方を指します。

この区分に入る人が離職すると、支給されるのは基本手当ではなく高年齢求職者給付金です。名称が変わるだけでなく、金額の決まり方も、通う回数も、日数の考え方も変わります。

なお、「65歳以上」をどの時点で判定するかという細かい取り扱いについては、今回確認したページに記載がありません。誕生日をまたぐ辞め方を検討している場合は、その一点だけはハローワークで確認してください。ここで推測を書くつもりはありません。

2. 支給されるのは50日分か30日分。分かれ目は「1年」です

支給額は表で示されています。被保険者であった期間が1年以上なら50日分1年未満なら30日分。この日数分の基本手当の額に相当する額が支給されます。

単価にあたる金額の考え方も同じページに書かれています。基本手当日額は、被保険者期間として計算された離職前の6か月間に支払われた賃金を基礎として計算されます。基本手当の説明としては、離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(賞与等は除く)の合計を180で割った金額(賃金日額)のおよそ50〜80%で、賃金の低い方ほど高い率になる、とされています。

ここで一点、正直に書いておきます。同じページには年齢区分ごとの上限額の表があり、令和8年8月1日現在として30歳未満7,450円/30歳以上45歳未満8,270円/45歳以上60歳未満9,110円/60歳以上65歳未満7,830円が掲載されています。ところがこの表に65歳以上の行はありません。したがって、65歳以上に適用される上限額の数値を本記事に書くことはできません。見込み額を計算したい場合は、この一点をハローワークで確認したうえで日数を掛けてください。

3. 受給要件は「離職前1年に6か月以上」です

受け取るための条件も、一般の被保険者とは違います。公表されている高年齢受給資格の要件は三つです。

離職により資格の確認を受けたこと労働の意志及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあること。そして算定対象期間(原則は離職前1年間)に被保険者期間が通算して6か月以上あること。被保険者期間の計算方法は一般の被保険者と同様とされています。

比較のために書いておくと、一般の被保険者が基本手当を受ける場合の要件は離職前2年に被保険者期間が通算12か月以上(特定受給資格者・特定理由離職者は離職前1年に6か月以上)です。高年齢求職者給付金のほうが、要件としては短い期間で満たせる形になっています。

手続の入口も明記されています。住居地を管轄する公共職業安定所に来所し、求職の申し込みをしたうえ、高年齢受給資格の決定を受けなければならない。辞めただけでは何も始まりません。申請の主体は本人で、行き先は住んでいる場所を管轄するハローワークです。

公表されている高年齢求職者給付金の枠組み
被保険者期間1年以上
50日分
被保険者期間1年未満
30日分
失業認定の回数
1回限り(一般の受給資格者とは異なる)
受給要件の期間
離職前1年に被保険者期間が通算6か月以上

4. 一般の受給資格者の日数表と比べると、差が見えます

「50日分」という数字が大きいのか小さいのかは、比較しないと分かりません。同じハローワークインターネットサービスには「基本手当の所定給付日数」というページがあり、離職理由の区分ごとに表が三つ載っています。

そのうち「1及び3以外の離職者」の表(全年齢)を見ると、被保険者であった期間に応じて1年未満90日/1年以上5年未満90日/5年以上10年未満120日/10年以上20年未満150日/20年以上150日となっています。自己都合で辞めた人などが入る表です。

もう一つ、「特定受給資格者及び一部の特定理由離職者」の表には年齢区分があり、60歳以上65歳未満の欄は1年未満150日/1年以上5年未満180日/5年以上10年未満210日/10年以上20年未満240日です。倒産や解雇などで離職した場合に適用される表です。就職困難者の表では、45歳以上65歳未満1年以上360日という欄もあります。

これらの表はいずれも年齢区分が65歳未満までで区切られています。65歳以上で離職した場合は、この日数表ではなく、50日分または30日分という高年齢求職者給付金の枠に入ります。損得の話ではなく、制度の枠そのものが切り替わるということです。辞める時期を選べる立場にあるなら、この構造は知ったうえで決めるべき材料になります。

ただし、どの表が適用されるかは離職理由の区分で決まります。個別の人がどの表に当たるかをここで断定することはできません。判断はハローワークの窓口で行われます。

なお、65歳になる前の在職中に給料が大きく下がっている場合には、雇用保険から上乗せされる別の給付があります。65歳になる前に賃金が60歳時点の75%未満に下がったときの高年齢雇用継続給付

5. 通うのは1回。だからこそ、行かないと終わりません

手続の負担については、良い知らせと注意点が同居しています。高年齢求職者給付金は失業認定を行った日に支給決定され失業認定は一般の受給資格者の場合とは異なり1回限りです。4週間ごとに認定日が来て、そのたびに出向く、という運用ではありません。

裏を返せば、その1回を落とすと話が進みません。求職の申し込みをして高年齢受給資格の決定を受け、失業認定を受ける。この流れを自分で始めなければ、支給決定に至らないということです。

もう一つ、同じページには不正受給の扱いも明記されています。偽りその他不正の行為で受けたり受けようとした場合には、以後受けられなくなるほか、返還を命ぜられます。更に原則として、返還を命じた不正受給金額とは別に、不正の行為により支給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額の納付を命ぜられます。就職が決まっているのに申告しない、といった行為の代償はここに書かれている通りです。

6. 季節的に働いていた人は、また別の枠です

紛らわしいので触れておきます。同じページには特例一時金という制度も並んでいます。こちらは季節的に雇用されている者等を短期雇用特例被保険者として、一般の被保険者と区別して給付するもので、額は基本手当の日額の30日分(ただし当分の間は暫定措置で40日分)とされています。

受給要件は算定対象期間(原則は離職前1年間)に被保険者期間が通算して6か月以上で、こちらの被保険者期間の計算は、一般の被保険者や高年齢被保険者と異なり一暦月中に賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上、または賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月を1か月として計算します。

高年齢被保険者の定義にも「短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者とならない方」という但し書きがありました。65歳以上でも、働き方が季節的な雇用や日雇いに当たる場合は、別の枠で扱われるということです。自分がどれに当たるかは、離職票の区分とハローワークの判断で決まります。

受け取るまでの3ステップ 1
被保険者であった期間が1年以上かを確認する(50日分と30日分の分かれ目)
2
住居地を管轄するハローワークへ行き、求職の申し込みをして高年齢受給資格の決定を受ける
3
失業認定を受ける(1回限り。その日に支給決定される)

出典と確認時点
この記事は2026年8月5日時点で、ハローワークインターネットサービスの「基本手当について」および「基本手当の所定給付日数」の記載を確認して整理した一般的な内容です。基本手当日額の上限額は出典側に「令和8年8月1日現在」と表記されているものを引用しており、この上限額は毎年8月1日に改定の対象となります。上限額の表には65歳以上の年齢区分が掲載されていないため、本文でも65歳以上に適用される上限額は扱っていません。個別の支給額・支給日数・適用される表は離職理由や被保険者期間によって異なり、判断はハローワークが行います。手続の前に、住居地を管轄するハローワークにご確認ください。

要点の確認

  • 65歳以上の被保険者(短期雇用特例・日雇労働に当たらない方)は高年齢被保険者
  • 離職時に支給されるのは基本手当ではなく高年齢求職者給付金
  • 額は被保険者であった期間1年以上で50日分、1年未満で30日分
  • 受給要件は離職前1年に被保険者期間が通算6か月以上ほか2点
  • 失業認定は1回限り。その日に支給決定される
  • 比較対象の所定給付日数表はいずれも65歳未満で区切られている
  • 「1及び3以外の離職者」の表では10年以上20年未満・20年以上ともに150日
  • 上限額の表は60歳以上65歳未満の7,830円までで、65歳以上の行は掲載されていない
  • 不正受給には返還に加えて、支給を受けた額の2倍に相当する額以下の納付命令

辞める日を決める前に、被保険者であった期間が1年を超えているかだけ確認する。それだけで、30日分と50日分のどちらになるかが先に分かります。

基本手当日額の上限額は毎年8月1日に改定の対象となります。改定が公表され次第、本記事の数値と表記時点を更新します。

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被保険者であった期間が1年を超えているか、一度だけ確かめるところから。
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